和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

2020-01-01から1年間の記事一覧

価値の変質 (2)

根回しの達人と廊下トンビ 管理職に求められるものは調整能力。私の先輩から何度も言われた言葉です。仕事は部下に任せて、自分は担当している案件に“けち”がつかないよう、社内調整を抜かりなく進めることに専念する。 先輩が言わんとしていることは理解で…

価値の変質 (1)

転職氷河期 組織の中にいて役職がそれなりに上がってくると、自分は会社に認められている、自分には能力がある、と自信を深めることになるのでしょうが、全て自分の力で勝ち取ったものとは限りません。会社の人事は業務能力以外の運・不運にも大きく左右され…

人をつなぎ留めておくもの

虚礼廃止 ひと昔前までは、年の瀬になると慌てて年賀状の準備に追われていたものです。仕事がどんなに忙しくても、三が日内に賀状が先方に届くように気をつけていました。 当時、私の勤め先では、社員の住所録が平然と配布されていた時代でした。年賀状を送…

24時間働けますか?

仕事の成果 仕事は結果・成果が全て。どんなに知恵を絞って時間をかけてやり遂げたとしても、それが結果に結びつかなければ無駄な仕事になります。会社からすれば、残業が多く成果が上がらない社員よりも、効率良く仕事をこなして結果を出す社員の方が好まし…

失ったものと大切なもの

失ったものを忘れるために 大切なのに、その大切さに気がつかない存在を空気に例えることがあります。いつも傍にいることが当たり前になっていて、いざ失いそうになった時に、初めてその大切さを知るのです。 私の部下に既婚者の女性社員がいます。以前、別…

ノンアルコールな人間関係

飲み会に命を懸ける 昨年の年の瀬は、取引先との忘年会でカレンダーが埋まっていました。いつもの年であれば、酒席が続かないよう、“休肝日”を考えながら予定を組まなければならなかったのですが、今年、私の予定表の夜の部は真っ白です。社内に目を向けても…

長い長い予定表 (3)

理想の家族 私の知人で郊外の一戸建てに住んでいた人がいました。Fさんは私の大学の大先輩で、就職活動中のOB訪問でお世話になりました。結局、その会社は2次面接で落とされてしまったのですが、Fさんにお礼の電話をすると、「残念会をやろう」とご自宅へ招…

長い長い予定表 (2)

一生で稼げるお金 一週間分の食材を蓄えた冷蔵庫があります。途中で食材の補充は出来ません。いくらお腹が空いているからと言って、月曜日に冷蔵庫を空にしてしまっては、残りの6日間を過ごすことは出来ません。また、何が起こるか分からないからと言って、…

長い長い予定表 (1)

遠くを見る目 会社の仕事、とりわけ新しいプロジェクトの投資評価を行う場合、計画が想定どおりに進んだケースの他、カギとなる要素が想定し得る最悪の状況になった場合 – リスクケース – も考慮します。リスクケースは、“悪い状況が重なった場合に生じる損…

愛情の報酬

幸せの押し売り 私の勤め先の後輩に、去る6月に結婚を予定していた者がおりました。コロナ禍の影響で結婚式は延期と伝えられていましたが、先々月、電話で結婚を取り止めるとの連絡を受けました。 奥さんの親御さんが職を失ってしまうかどうかの瀬戸際らしく…

必要なのか、欲望なのか

幸せの証 過去に何度か父親のことに触れた記事を書きました。祖父から仕事を引き継いだ父は、家族だけで営んでいた町工場を、従業員十数名を雇うまでに成長させました。 しかし、今考えると、それは私の父に商才があったからでは無く、たまたま高度成長の波…

パートナーに求めるもの

見た目の若さか、真の健康か 見た目や体力の衰え。生き物である私たちにとって、加齢とともに訪れる衰えは避けては通れません。まだまだ若いと思いながらも、やがて、しわや白髪が増え、おなかの周りの贅肉が気になり始めます。 私も数年前までは、20代の、…

気楽さの中の幸せ

塩おにぎりが好き 加齢とともに嗜好が変わるのは、その年齢にならないと分からないものです。若い頃は脂っこいものや濃い味付けのものが好きだった私も、揚げ物を食べた翌朝に、胸やけで目を覚ますようになってからは、あっさりとしたものを好むようになりま…

老後は何をする時間?

働けるだけ働く 定年延長の傾向はこれからも続くのでしょうが、仮に70歳が定年になった場合、高校卒業後にすぐ就職すると、50年近く“働き手”として活躍することとなります。それに伴い、老後の時間は短くなります。 平均寿命が延びたとしても、健康でいられ…

最良の一日と最悪な一日

一日をリセットする時間と空間 「今日も良い一日だった」と思いながら布団に潜り込めたらどんなに幸せでしょう。 数年前までの私は、その日一日を振り返ることをしませんでした。若い時に比べて、家族と向き合う時間は作れるようにはなりましたが、それでも…

飾らない生き方

掃除と断捨離 どこのご家庭でも同じだと思いますが、我が家では、例年、年の瀬が近づいてくると少しずつ家の中の片づけを始めて、年末の大掃除でクライマックスを迎えます。しかし、今年に限っては、ステイホームの期間に家族総出で大掃除を済ませてしまいま…

好機を見つける目

こんなはずじゃない現実 数か月前のステイホームの期間中、テレビではひと昔もふた昔も前のドラマを再放送していました。私も妻も、普段テレビに噛り付くことはしないのですが、かつてヒットしたドラマをわざわざ録画してまで見てしまいました。ドラマそのも…

お金を貸してはいけない

自分のお金にルーズな人間 私が大学生の頃、貸したものが返ってこない同級生 – あえて友人とは呼びません - がいました。本やCDを貸すと、こちらがしつこく催促しないと返ってこない。2度、3度とそのようなことが繰り返されると、そのような相手に自分の物を…

子どもの教育と親の義務 (3)

藁にもすがる思い スクールカウンセラーから紹介を受けた家庭教師 – リズさん – は、私の母親と同年代の恰幅の良い女性でした。数年前まで小学校の教師をしていたと言い、今は他に受け持っている生徒もいないので、こちらの都合に合わせて個人授業を行なえる…

子どもの教育と親の義務 (2)

娘の不登校(続) 現地校に通い始めて1か月が過ぎたある日、上の娘は学校に行きたくないと言い出しました。泣いて嫌がる娘を宥めすかして何とかクラスルームに送り届けた後、妻と一緒にスクールカウンセラーと面会しました。 スクールカウンセラーは、学校生…

子どもの教育と親の義務 (1)

サボり癖の延長線 前回の記事で、不登校児の話題に少しだけ触れました。 lambamirstan.hatenablog.com 不登校になる理由は様々です。いじめや体罰などで学校に行きたくても行けなくなってしまったと言うケースもあるでしょう。無理やり子どもを学校に通わせ…

躾の連鎖

不登校児の言い分 下の娘は、アルバイトで英語の塾講師をしています。人に教えられるのを極端に嫌っていた彼女でしたが、人に教えるのは性に合っているようで、毎日遅くまで教材の予習に余念がありません。塾の授業はマンツーマン方式なので、生徒のレベルに…

メールの両刃

便利になって仕事が増える 昔の話を引き合いに出すのは私の悪い癖なのですが、私が若手社員だった頃は、急病で休む時などは、上司に電話を入れることが“常識”でした。また、仕事の指示や依頼、それに対する連絡や報告も、直接口頭で行なっていました。今の若…

残光に包まれて

最愛の人の死 会社の大先輩のOさんは、退職後に生まれ故郷の新潟に戻り、たまの用事で上京する時にお互いに都合が合えば近況報告をする間柄です。 先月上旬、Oさんが都内の病院で診察を受けた帰りに、一緒に昼食を摂りました。前回あったのは、3年ほど前。来…

二十歳の娘への言葉

想い出の欠落 これは、家族の誰にも話したことが無いのですが、私は、下の娘が生まれて間も無い頃から、2歳の誕生日を迎える頃までの記憶がほとんどありません。 事故による記憶喪失などでは無く、あの頃の私は、仕事に忙殺されて精神的に危うい状態だったの…

自動車暴走死傷事故に思うこと

過ちは敗北 2019年4月に発生した、東京・池袋での自動車暴走死傷事故。その初公判が先日開かれました。 この事故を知らない人はいないと思いますので、ここでその詳細に触れることはしませんが、11名の死傷者を出した事故の被告人は、被害者やご遺族に形式的…

世の中の中心

老害予備軍 少し前に、公共の場で声を荒げて年下の人間を罵倒する高齢者の話を書きました。 lambamirstan.hatenablog.com 「老害」と言う言葉がいつから使われ始めたのかは定かではありませんが、これだけ高齢者の数が増えれば、他人に迷惑をかける“老害”が…

老後の住環境 (2)

住環境への拘り今の自分たちのスタイルに合った住環境が、必ずしも老後の生活に適しているとは限りません。ライフステージに合わせて引っ越しするのが良いのか、あるいは先々を見据えて“定住”するのが良いのか。住環境にどこまで拘るのかは、自分や家族の価…

老後の住環境 (1)

終の棲家が重しとなる 老後を考えると言うと、真っ先にお金のことが頭に浮かぶ人が多いのでしょうが、私は、自分の両親の老後生活を見て、どのように暮らすのかを具体的にイメージすることの方がより大事だと思いました。 老後の暮らし方次第で必要な生活費…

結婚と非婚 天の気まぐれ (2)

酸っぱい葡萄 すでに退職してしまいましたが、私の勤め先で女性初の幹部社員になったOさんと言う先輩がいました。かつて“男社会”だった会社の中で、女性が管理職になるのは大変なことだったと思います。 Oさんは部下や同僚にとても厳しい人でした。ただし、…