和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

24時間働けますか?

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仕事の成果

仕事は結果・成果が全て。どんなに知恵を絞って時間をかけてやり遂げたとしても、それが結果に結びつかなければ無駄な仕事になります。会社からすれば、残業が多く成果が上がらない社員よりも、効率良く仕事をこなして結果を出す社員の方が好ましいはずです。ところが、結果さえ出していれば良いのかと言うと、必ずしもそうでは無いのが会社と言う組織の不思議なところでもあります。

 

リスクを伴う難易度の高い仕事で芳しくない結果となっても、その過程はそれなりに評価されて然るべきと言う場合もあります。どうしても時間がかかってしまう仕事があることは否定しませんが、時間をかけたことを失敗した時の情状として利用するのは間違っています。やはり仕事は結果で評価されるべきなのです。

 

所定の時間内で最高のパフォーマンスを

景気が悪くなり、リソースを減らされても、現場に求められるのは「変わらない結果を出す」工夫をすること。それに異を唱えると、「出来ない病」に罹っていると言われたりしますが、人やお金を減らされてもなお、「知恵を絞れ」と現場に責任を丸投げして、同じ結果を期待する方が無理と言うもの。今まで100点満点を期待していた現場に、75点でも仕事が進めば良しとするような、経営陣の考え方の切り替えが必要なのです。

 

昨今、どこの会社もワークライフバランスの重要性を唱えますが、それは綺麗事です。私の勤め先、もっと言うと、私の部署では、工夫をして部下が残業をしないような体制で効率化を達成出来た途端、未だ効率化出来ていない別の部署の仕事が回ってくることになりました。結局うまく仕事をこなせば、より負荷が大きくなると言う訳の分からないことになっています。

 

かつて私が若い頃も、自分なりに仕事の段取りを考えて就業時間内に仕事を片付けられるようになると、別の、残業の多い同僚の仕事が回ってくるようになりました。私の仕事は増え、再び残業を強いられることになりましたが、件の同僚の残業が減ったのかと言うとそうはならず、残業する社員が増えるだけの結果となりました。残業して仕事をする社員の中には、残業代を給料に織り込んでいる者もおり、仕事を減らされても残業を減らすことはしないのです。そのような社員に対しては、会社が強制的に就業時間内に仕事を終わらせるように仕向けなければ残業は減りません。

 

一方で、仕事の成果を上げることに取り組んでいる社員にとっては、所定内の時間で最高のパフォーマンスを上げるためには、仕事とプライベートの切り替えが必要です。パフォーマンスを上げれば上げるほど仕事が増えて行くのでは、やる気を維持するのは困難となります。

 

遅くまで仕事をしている社員と、終業のベルと共に退社する社員。しかし、会社が本当に目を向けなければならないのは、どちらが良い結果を出せたかであり、何時間会社で仕事をしたかではないのです。残業時間が多いことを、「一生懸命仕事をしている」と評価してはいけないのです。

 

24時間働けますか?

部下に残業させてはならない。これまでと同じ結果を求められる。そのしわ寄せはグループや部の長を担う幹部社員に来ます。仕事の負荷は、残業慣れした世代の肩に重くのしかかります。平成の就職氷河期で採用を絞っていた時期の社員は、今や会社でも重要な役回りを担う世代になっていますが、頭数が足りていません。中途採用しても全てが有能な人材とは限りません。今の、特に平成一桁代に入社した幹部社員は、仕事に全身全霊を注ぐことを美と信じ込まされた世代です。

 

「24時間働けますか?」とは、栄養ドリンクのCMで有名になったフレーズですが、令和の時代になっても、幹部社員は「24時間働けますか?」と問われているような気がします。

 

24時間のうち、自分や家族のために割ける時間はどれだけあるでしょうか。逆の見方をすると、仕事のために割かざるを得ない時間はどれだけでしょうか。

 

会社員は給料と引き換えに自分の時間を切り売りしています。労働時間を自己の裁量で決められるはずの管理職は、本来は自分が手を動かして働くのではなく、部下の働きを最大限引き出すことが仕事のはずですが、今のご時世、部下が疲弊しないようにするためには、自分で仕事をせざるを得ない状況に追い込まれていると言う幹部社員も少なくないはずです。プレイングマネージャーに頼る現場は、いつまで耐えられるのでしょうか。

 

今の若手が幹部社員になった時に、自分たちと同じように働けるのか。次にしわ寄せを負うのはどの世代なのでしょうか。

 

働き方改革は、仕事の仕方の多様化だけを追求するものではありません。自分のスキルを売り物にして、最大限評価される場を見つけて渡り歩く「ジョブ型」のワークスタイルへの変換を目指すことも含まれているのだと思います。自分のスキルや経験を武器にして能動的に自分の居場所を探せることが出来れば、自分のライフスタイルと合わない会社に対して、いつでも“ノー”と言えることが出来ます。

 

年寄りも若者も、経営者も従業員も、1日が24時間であることに変わりありません。その時間の使い方くらい、自分で決めたいと思いませんか。