和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

最良の一日と最悪な一日

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一日をリセットする時間と空間

「今日も良い一日だった」と思いながら布団に潜り込めたらどんなに幸せでしょう。

 

数年前までの私は、その日一日を振り返ることをしませんでした。若い時に比べて、家族と向き合う時間は作れるようにはなりましたが、それでも職場でのストレスが全く無くなったと言うわけではありませんでした。良い日も悪い日も、終わったことを考えても仕方ないと思っていました。仕事のある平日は、そのようなことすら考えられず、布団に入ると死んだように眠りにつくような日々を過ごしていたのです。

 

しかし、悪いことが重なって起きている時期に、一日を振り返らずに過ごしていると、消化しきれなかった悪い感情が不意に湧き上がることがあります。

 

結果に納得できなかったことや、反論することを我慢して自分を押し殺したことなど、不満やストレスにふたをしてやり過ごしたとしても、それは自分の心の奥に仕舞われただけで、消えて無くなったわけではありません。結局、そのような自分の深いところに押し込められた感情は、再び水面上に顔を出すチャンスを窺っているのです。

 

私の拙い経験から、未消化の感情をうやむやにしておいても、いずれはそのような感情から目を逸らすことが出来ない時が来ることを知りました。そして、ある時期からは、余程帰宅が遅くならない限りは、寝る前の30分から1時間は、余計な情報をシャットアウトして、内省するための時間に充てるようになりました。

 

順調に行った日でも全てが悪い方向に流れてしまった日でも、布団に入る前に自分の感情と向き合い、自分に嘘を吐いていないか、意地を張っていないか、自分の本心は何を考えているのか、など自問自答することを一日の終わりに行ないます。そのように一日をリセットすることができると、次の日は余計な感情に引き摺られずに過ごせるようになりました。

 

感情の伝播

もちろん、毎日すんなりとリセットできるわけではありません。感情の整理が上手くできなかった翌日は、予想どおりのチグハグな一日になってしまいます。

 

それでも、自分の感情と向き合っていれば、日々の自分をコントロールすることがしやすくなります。すなわち、その場の感情で行動したり発言したりすることが無くなります。

 

気分の波は人に伝播します。自分が不機嫌でいると、家族や同僚に不快な感情が伝わるものです。機嫌の悪い人と一緒にいるとこちらまで嫌な気分になることを知っていれば、せめて自分だけは不機嫌の種蒔きをするのは止そうと考えるのではないでしょうか。

 

自分が気分よく一日を過ごすためには、周囲の人々に不快な思いをさせないことです。感情は伝播します。もし、自分が負の感情をまき散らすようなことをすれば、いずれそれは自分に返ってきます。自分で自分を不快にさせるような原因を作ることを止めれば、良い一日が増えることになると思うのです。

 

踊らされない心

逆に、自分の周りに負の感情をまき散らす人がいたら、どうしたらいいのでしょうか。職場でも学校でも、常に不機嫌の人がいます。何が気に食わないのか、自分が機嫌が悪いことの原因を全て周りに押し付けるような人です。

 

そのような人を見ると、つい諫めたくなります。しかし、私の場合、職場では、自分の監督責任下にある者を除いて、諭したり忠告したりすることは止めました。

 

むしろ、外からの負の感情に晒されても、それに乗らないことを心がけています。不快な言動を注意したり、ましてや売られた喧嘩を買ったりすることなど、誰が得をするのでしょうか。少なくとも自分が得をすることなどありません。嫌な気持ちだけが残り、“良き一日”が台無しになることにしかつながりません。

 

その日を自分にとっての最良の一日にするためには、周囲の人々にとっても最良の一日になるよう、自分自身が良い種を蒔くのと同時に、他者の持つ負の感情に踊らされないように心がけることが肝要だと考えます。