和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

小遣い使途

大概の支払いはキャッシュレスで行なえるようになったため、流行に疎い私ですら、普段の買い物で現金を使うことはあまりなくなりました。自分の財布に何かあった時のために一万円札を一枚入れてありますが、それに手を付けることはありません。

以前は袋分けで家計管理をしていたので、給料日に引き出す現金もそれなりの金額でしたが、公共料金を含めほとんどの支払いは銀行口座からの引き落としやカード決済となりました。今では現金が登場するのは、近所の無人販売所で野菜を買う時くらいです。

キャッシュレスでの支払いは非常に便利ではありますが、私の場合、知らない間に小遣いを使い過ぎることが増えてしまいました。以前は、財布が空になれば、買い物自粛、と自然にコントロールできていましたが、キャッシュレスだと気づかぬうちに意外にお金を使ってしまいます。そんなことが度々繰り返され、私は小遣い帳をつけるようになりました。自分の自制心をあてにするのは無理だと悟った結果です。

もっとも、今では付き合いで飲む機会は皆無で、個人的な趣味のものを買うためにお金を費やすこともそれほど多くなくなりました。以前の私が月の小遣いを使い切ることに無意識のうちに執着していたのは、ある種のストレス解消のためだったのかもしれません。

今の私の小遣いは、三月に一回程度の“ちょっといいワインの日”や家族の誕生日のケーキなどに使われます。娘たちからは「どうせ使う当てのないお小遣いなのだから」と、言いくるめられている私ですが、なぜか悪い気はしません。小遣いは自分のために使うものという拘りが消え、家族へ還元する方が心の落ち着きを感じます。