和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

娘の部屋探し

独り暮らしをしたいと言っている下の娘ですが、なかなか希望する物件が見つかりません。いろいろと賃貸物件を検索しても、掘り出し物はありません。利便性や治安の良さを優先させればそれなりの値段になってしまいます。逆に周辺の相場よりも安いものは曰くつきの物件ということになります。

独り暮らしと言えば、私の勤め先の単身寮が廃止になることが決まりました。入居希望者が激減したことが理由のようです。

会社の福利厚生施設ですから、周辺の相場よりも格段に手ごろな寮費で住めるのですが、若い人々は、少しばかりコストがかかっても通勤の便の良い場所に自分の城を構えたいようです。

家族向けの社宅も入居希望者が減少傾向にあるようなので、あと何年かしたら社宅制度そのものが廃止になるのかもしれません。

二人の娘たちは学生時代も自宅から通学していたので、親の私は独身者用の賃貸物件に関する相場観が備わっていません。今回、娘の部屋探しに付き合いましたが、都会の独り暮らしはお金がかかることをしみじみと感じました。

こんなことなら、もうしばらく親元で暮らした方が気が楽なのではないかとも思いましたが、娘の独立心を殺ぐようなことを言うわけにもいかず、親としては悩ましい限りです。

 

会社の向かう先

 

今年度から導入された新人事制度と組織改革。“課”を構成する必要最小人数が定められたため、それを下回る課は統合され、それまで課長だった者は“自動的に”一般社員に降格となります。全社でどれほどの降格者が出たのかは分かりません。いずれにせよ、管理職のポストは減り、新たに管理職となるための登用試験の門はさらに狭まることになるのでしょう。

導入前から、途中経過も含めて繰り返し行われてきた制度概要の説明会は、お世辞にも評判の良いものではなく、批判的な意見も多々出されていましたが、会社はなし崩し的に新人事制度の導入を決めてしまいました。

“メリハリのある評価制度”、“社員のエンゲージメントの高揚”、“変化に柔軟に対応できる組織作り” ― お題目は十年前から、いや、もっと前から大して代わり映えしません。

そもそも、「社員の声を広く取り入れた」と自画自賛している新制度自体、その議論のプロセスには社員は深く関与できませんでした。声は拾い上げても聞き置かれるだけで反映されることはありませんでした。批判的な意見に対する会社の回答もうやむやでした。

社員は ― 特に若い人々は会社のやっていることをよく見ています。経営陣が考えているほど、うぶな若者は多くありません。それは昔も今も変わらないと思いますが、昔と違うところは、今の若い人々は上の人間に対して強く抗議したり、食って掛かったりするようなことはあまりしなくなりました。代わりに、とてもスマートに、水面に波紋を立てることなく静かに去って行きます。

プレイイングマネージャーでなければ管理職が務まらないようになったのは、もうだいぶ前の話です。組織改編で管理業務が劇的に減るとは思えず、これからは、管理職一歩手前の、しかも会社の事情で管理職に昇格させられない世代がマネージングプレイヤーとして管理職の肩代わりをせざるを得ない職場になるのではないかと危惧しています。

会社はどこに向かおうとしているのか。私にそれを見届ける時間はもうありません。

 

モラルの問題

私の勤め先では、コロナ禍の最中に在宅勤務制度が始まり、しばらくして漸く業務用のパソコンを持ち帰れるようになりました。

コロナ禍が落ち着き、出社率が上がるのに伴い、通勤途中のパソコンの破損や紛失が目立つようになりました。具体的な件数は詳らかにはされていませんが、折に触れ会社のイントラネットに注意喚起が掲示されます。

パソコン紛失の多くは飲み会帰りの置忘れのようで、来月からはそのような不注意による紛失については、社員個人に弁償させることになりました。また、パソコンの持ち出しにはその都度上司の許可を取ることになりました。

来月からもう一つ変わることは、本社ビル内の全面禁煙が実施されることです。禁煙運動が盛んな昨今、会社は禁煙治療に取り組む社員に対して一定の補助を行なうとともに、就業時間中は各フロアの喫煙室の使用を禁じるようになりました。ただし、就業時間前後と昼休みの使用は認めていました。

ところが、会社の“緩い”禁煙ルールにも拘わらず、仕事中の“隠れたばこ”を止められない社員がおり、その結果、喫煙室は来月から“完全封鎖”されることとなりました。真面目にルールを守っていた喫煙者にとってはとんだとばっちりですが、文字通り“煙たがられる存在”を職場から排除する格好の口実を会社に与えてしまったことになります。

パソコンの話にしても喫煙の話にしても、ルール以前のモラルの問題なのですが、会社が基本的なところまで社員の行動に口出しせざるを得ない状況なのは情けない話です。