長い長い予定表 (2)

f:id:lambamirstan:20191026045002j:plain

一生で稼げるお金

一週間分の食材を蓄えた冷蔵庫があります。途中で食材の補充は出来ません。いくらお腹が空いているからと言って、月曜日に冷蔵庫を空にしてしまっては、残りの6日間を過ごすことは出来ません。また、何が起こるか分からないからと言って、食材を使い惜しんでいると、一週間後には傷んで使えなくなってしまった食材ばかりになってしまいます。それぞれの食材の食べ頃を考え、一週間で無駄なく使いきれることが出来れば理想的です。

 

人の一生と一週間分の献立を比べることはナンセンスだと言われるかもしれませんが、時間の長さが違うだけで、計画的に物事を考えると言う点では共通しているのではないでしょうか。

 

前回の記事で、人生設計は、お金と時間の使い方を考えることだと書きました。では、まず、収入はどのように見立てるべきでしょうか。一生に稼げるお金の額はいくらでしょう。自営業か会社員か、事業の規模や昇進の度合い、景気の動向・・・それらの要素をどのように捉えるかは人それぞれです。

 

楽観的な人と慎重派の人とでは、自分の生涯収入に関する考え方も自ずと異なります。本業以外の不労所得や親からの相続があるかもしれません。しかし、宝くじが当たることを期待して人生設計を立てることはしないでしょう。いずれにしても、“現実的な”期待できる生涯収入を考えることは重要となります。

 

私たち夫婦の場合は、私の勤め先の給与規程から、定年まで勤めた場合のおおよその収入を見積もりました。結婚当初、妻は無職だったので、妻の収入はゼロと言う前提にしました。つまり、結婚した後の生計は、私の収入だけに頼ることを想定したのです。不労所得無し、親からの相続も無しです。また、定年後の収入は、当時私の親が受け取っていた“基礎年金”相当額を参考にしました。会社勤めなので厚生年金も受け取れるはずですが、年金制度の不透明感から、当時はこれを“当てにしない”想定を立てました。

 

実際には妻は、結婚当初から長女が生まれるまでの3年間と海外駐在から帰国した5年前からここまで仕事をしていたので、その分は“想定外の収入”として、貯蓄に回ることとなりました。

 

貯蓄に対する利息収入は見込みませんでした。結婚当初はまだ、郵便貯金金利は6%を上回っていたので、10年余りで貯蓄が倍になると言う、今では夢のような世界でしたが、私は利息収入を当てにしないことにしていました。これは何かを根拠にしたものでは無く、たまたま的中した“残念な”予想でした。

 

使えるお金

一生で使えるお金はどのように考えたらいいのでしょうか。“使えるお金”は、自分の描く将来において、達成したいライフイベントのためのお金です。そのためには、食費、日用品、光熱費等々のランニングコスト – 使う必要のあるお金 – を最初に考えなければなりません。

 

私たちは、仮に二人とも90歳まで生きる前提でランニングコストを見積もりました。また、子どもが生まれる年を仮定し、そこから独立するまでの子供の分の、教育費を含めないランニングコストを加えました。想定した収入からランニングコストを引いた残りが、“使えるお金”です。

 

家、車、子どもの教育、趣味・娯楽。何が自分の人生に充実感を与えてくれるのか。欲しいもの全てを手に入れられる人は別として、想定できる収入に限りがある場合には、手に入れたいものに優先順位をつけることと、それぞれの目的のために費やすお金の配分を考えることは避けて通れません。

 

自分と配偶者の人生の目標にどのようにメリハリをつけるのか、何にどれだけ拘わりたいのかによってお金の配分の仕方が決まってきます。

 

そして、肝心なのが、老後の生活にどれだけ資金を残しておけば安心感が得られるのか、です。欲しいものを手に入れ、やりたいことをやった後、老後生活を始める頃になって取り崩せる貯蓄が覚束なければ、死ぬまで不安を抱えながら生きて行くこととなります。そうならないために、使えるお金の配分方法は若いうちからよく考えておく必要があります。

 

大きな買い物と長いローン

地価は右肩上がりに高騰し続ける - そんな“土地神話”など死語となってしまった時代においては、多額の借金をして不動産を取得することは、大きなリスクを伴うことにもなります。

 

土地の価格はともかく、建物は買った瞬間から資産価値が下がり始めます。木造建物の法定耐用年数は22年ですから、その頃になると、住むには問題の無い建物であっても、資産価値はほぼゼロ、土地の価値しか残らないこととなります。仮に、購入後20年目にして家を手放さざるを得ないことになった場合、長期のローンを組んでいると、土地・家屋を売ったお金では借金を完済できない、と言う事態になることもあり得ます。

 

これからの時代に、ボーナス併用や退職金での残債返済を当てにしたローンを組むことは、今まで以上に慎重に考える必要がありそうです。

 

金融機関は、審査条件さえ整えばお金を貸してくれます。しかし、それは、あなたが借金を返済できることを保証してくれるものではありません。借りられるお金と返せるお金が、実は全くの別物であることを理解していないと、後になって、せっかく手に入れた自分の城を明け渡さざるを得ないばかりか、手放した家のために、その後も借金返済に追われる、などと言うこともあるわけです。(続く)