和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

生活スタイルとコスパ

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腐ったミカンの方程式

「腐ったミカンの方程式」。古い学園ドラマで取り上げられたフレーズなので、今の若い人はピンとこないでしょうが、不良学生を腐ったミカンに準え、箱の中に腐ったミカンがあれば他のミカンも傷んでしまうので、そうならないうちに腐ったミカンを取り除いてしまえ、と言う意味です。

 

私が子どもの頃、家ではミカンを箱買いしていましたが、たしかにその中のひとつでもカビが生えて悪くなると、あっという間に他のミカンも傷んでしまいます。ミカンが傷んでしまう前に食べ切ってしまえば良いのですが、いくらミカンが好物でも、日に何個も食べていれば飽きてきます。結局、毎年箱買いするミカンでしたが、悪くなって捨ててしまう数は少なくなかったと思います。

 

結婚してからと言うもの、ミカンに限らず食べ物を大量買いすることは無くなりました。新婚時代から食材の買い物は週二回のペースを維持していますが、使い切れる分だけを買い足すと言う感じです。

 

今は、大手スーパーの通販を週二回程度利用しています。スーパーに買い出しに行くと、予定に無かったものをつい買ってしまうことがあったのですが、必要なものだけを通販で調達するようになってからは、食費を低く抑えられるようになりました。野菜類は、近所にいくつか無人販売所があるので、スーパーよりも安く新鮮なものを手に入れられるので重宝しています。

 

考えてみると、購入する食材は全くと言っていいほど変わりません。完全にワンパターンの様式美を維持しています。調理方法を変えることで同じ食材を飽きずに食すのが我が家の食事スタイルになっています。

 

冒頭の「腐ったミカンの方程式」を何故思い出したかと言うと、先日母親からミカン箱が送られて来たからでした。昨年末も今年の夏も顔を合わせられなかったことと妻のお見舞いをもらっていたので、この秋にちょっとしたお礼を送っていたところ、そのお返しがミカン箱でした。

 

両隣りのお宅にお裾分けをしてもまだ大量に残るミカン。二人の娘は食べてもなかなか減らないミカンを喜んでいますが、この調子でミカンを食べ切ってくれることを期待しています。

 

変わらない生活スタイル

バブル崩壊後に結婚した私たちは、“これからは思うように収入は増えない” との想定で、生活スタイルを模索しました。入って来るお金に期待が出来ない一方で、出て行くお金は自分たちでコントロール出来るわけですから、そちらに目を向けることにしたわけです。

 

結婚以来記録しているキャッシュフロー表を見返すと、生活スタイルを維持しようと努力して来た跡が見えてきます。

 

収入カーブは私たちが悲観的に予想していたよりもさらに下回っていますが、毎年の貯蓄レベルはほぼ期待どおりに推移してきました。裏を返すと、支出カーブは私たちが想定していたよりもうまく抑えられていることになるのですが、それは、収入増に引き摺られずに生活スタイルを維持出来た結果だと思います。

 

もったいないと言う意識

生活スタイルを変えないと言っても、その言葉自体が漠然としているのですが、底流にある意識は“もったいないことはしない”と言うものです。食事に関しては、食べ切れないほど買わない、食べ物を腐らせない、粗末にしない、と言ったところでしょうか。

 

また、あれが欲しい、これが欲しいと言うものの中に、自分たちにとってどれだけ本当に必要なものが含まれているのかを良く考えることも重要です。誰かが持っている物を欲しくなるのと、自分が本当に欲しい物は同じではありません。何かを衝動的に買いたいと思った気持ちは、明日になれば変わっているかもしれません。必要な物、本当に欲しい物を吟味することさえ出来れば、無駄なお金の使い方を減らすことが出来ます。

 

吟味すると言う点では、通販サイトの“欲しい物リスト”は便利な機能だと思います。欲しいと思った物をリストに載せておいてしばらく放置しておくと、私に限って言えば、そのうちの半分は後になってリストから外すことになるようです。時間をおいて冷静になった頭で考えてもなお、必要だと思った物だけを買うようにしています。

 

残念ながら、娘たちは今のところ、私の買い物指南に耳を傾けることはありません。親の目から見ると何て無駄な買い物だろうと思うこともありますが、口出しするのを我慢しています。お金の使い方は自分で学ぶしかないと思っています。娘たちはそれぞれのお金に対する価値観を身に着けることになるのです。

 

それでも、上の娘は最近、自分の親がつけている家計簿に興味が湧いてきた様子です。行く行くは独り暮らしがしたいと言う彼女ですが、少ない給料の中から“独立資金”を用意するのことの大変さを実感したのでしょう。

 

ほとんどの買い物がキャッシュレスで出来てしまうと、お金に羽が生えて飛んでいく感覚が薄れるような気がします。現金を持ち歩かないのは便利なようでいて、コスパの悪い生活に陥る原因にもなりかねません。だからこそ、お金の出入りを意識的に把握しておく必要があるのです。