和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

努力と無理 (1)

モラトリアム 私は自分を、物事をあまり深く考えずに大人になった人間なのだと思っています。 物心がついた頃から、父親には会社を継ぐことを刷り込まれ続けましたが、子どもが考える将来はもっと夢のあるものでした。小学校の作文でお約束のテーマ、「将来…

人並みの生活

当ては外れるもの 私が大学生の頃にはバブルの終わりが近づいていましたが、それでも、アルバイト先の上司や先輩の羽振りの良さを目の当たりにした私は、就職するとこんなに良い生活を送れるのかと、大きな期待を抱いていました。 ちょうどその時分、父親の…

考えない人々

評論家集団 毎年、翌年の事業計画策定に先立って役員の勉強会が行なわれます。2日間に亘り、副社長以下の役員が会議室に終日缶詰になり、事務局が提示した“宿題”に対して、各役員が用意したプレゼン資料を発表して、それをたたき台に議論を行なうそうです。 …

無駄遣いからの卒業

自由に使えるお金 海外駐在から帰国した直後、妻と私は、娘たちから小遣いが欲しいとせがまれました。彼の地では、どこに出かけるにしても車が必要で、子どもだけで買い物には行けません。娘たちが何か必要であれば、妻か私が一緒に買い物に出かけることにな…

捨て石の気持ち (2)

滞留者 毎年の期末面談は、本人が記載した目標達成表を基に行なわれます。本人の自己評価に対して直属の上司、二次評価者の部長が評価を加え、本人と面談をした上で評価のすり合わせを行ないます。 年度の最初に本人と上司が目標とその達成イメージを設定す…

捨て石の気持ち (1)

制度の骨抜き 管理職を降りて一番気が楽になったのは、部下の管理や査定をしなくて済むようになったことです。 私の勤め先が、年功制を廃し成果主義を導入してから大分時間が経ちました。しかし、制度が変わったからと言って、それを運用する人間の心構えま…

愛すべき自分

大切な存在 自分にとって一番大切な存在は自分自身だと私は思います。 追い込まれて悩んでいる自分を嫌い、時には憎んでしまう人がいますが、一番大切な存在である自分自身を愛することが出来なければ、自分が大切にしたいと思っている人々を本当に愛するこ…

マトリックス新作と頭のストレッチ

新作への期待 先ごろ「マトリックス レザレクションズ」の予告編が公開されました。約20年ぶりの続編と、タイトルの“レザレクションズ”(復活)に込められた意味から、自ずと期待が膨らんでしまいます。マトリックスは私にとって想い出深い映画のひとつなの…

象と鼠 (2)

常識の押し付け 取り巻く環境の変化を目にして、私の勤め先でも、「会社を変えて行かなければ生き残れない」と言うくらいの危機感はあったのでしょう。人事部はそれまで頑なに拒んできた中途採用に踏み切りました。また、働き方改革を推し進めようと、“多様…

象と鼠 (1)

帰属意識 転職が普通のことになる一方で中途採用者が増えてくると、それまで守り続けてきた – あるいは、守られ続けてきた – 社風を維持することが難しくなってきます。 過去の記事でも度々触れましたが、私の勤め先は、“超”がつくほどの保守的な会社でした…

没頭できるものを探す

趣味に生きる 結婚前から妻は着付け教室に通い資格取得を目指していました。私の海外駐在や子育て等で上位の資格取得は思いどおりには進みませんでしたが、帰国後は呉服店で働き始め、七五三や成人式の時期にはフォトスタジオなどで着付けのアルバイトをしな…

使える時間

身近だった死 古典落語の演目で「死神」と言う噺があります。初めて「死神」を聞いた小学生の私は、人の命をロウソクに準えたその物語に、幼いながらも恐怖を感じました。もっとも、人生の意味も分かっていない子供のことですから、漠然と自分と言う存在がこ…

仕事の出来ない人 (3)

会社に期待しない生き方 最初の期末面談では、私はTさんとの距離を縮めることは出来ませんでした。あちらが何を考えているのかを知りたくても答えをはぐらかされてしまい、Tさんの本音を掴めずにいました。 それでも、仕事の合間の雑談や、仕事終わりの気晴…