和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

欠員補充

新年度を迎えて一週間が経とうとしています。私の部署には新入社員一名が配属されることになっており、新人研修を終えてゴールデンウィーク前には欠員の穴が一つ埋まることになりますが、それで部署の仕事が俄かに楽になるわけではありません。

新入社員を受け入れる課は、かつては課長以下五名で仕事を回してきました。それが、この三年余りの間に、異動や転職によって減員となり、欠員が補充されないままに今では課長と部下一人になっていました。欠員は他の部署からの兼務で凌いできました。

昨日、新入社員を受け入れる課の課長と話す機会がありました。課長が「新人が仕事に慣れたら、いずれ私の仕事のサポートもしてもらう」と気前の良いことを言ったのは、欠員補充が叶って一安心したからなのでしょう。私は課長の上機嫌に水を差しはしませんでしたが、心中はあまり穏やかではありませんでした。

欠員の補充は喜ばしい話とはいえ、新入社員がすぐに戦力になることなど期待できません。たった一人の部下は、自分の仕事に加えて新人を指導する仕事が増えるわけで、一時的にはむしろ業務負荷が増えることを覚悟すべきなのです。

新入社員からすれば、一回り以上も年上の社員が指導役になります。年齢差による考え方やコミュニケーションの取り方の違いは、ともすれば大きな壁にもなります。

私は悲観的なのかもしれません。しかし、若手社員の転職に歯止めのかからない我が社において、新入社員の受け入れは、ひと昔前よりも一層責任重大で、能天気に浮かれている状況ではないということは知っておく必要があります。