和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

管理職が不足する日

昇格試験

数年前から導入された“新”昇格制度は、外部のコンサルタント会社が行なうアセスメントで合否を判定するものでした。

 

これまでは、上司の推薦と役員面接をパスすれば晴れて幹部社員のチケットを手に入れることができましたが、それも形式的で、“合格率”はほぼ100%。良い悪いは別として、当時は上司に部下を幹部社員に引き上げる権限があったのでした。

 

最近の昇格試験の合格率は知りませんが、今年、私の所属する部門全体でのアセスメント受験者は六名で、合格者は四名だったそうです。不合格者の二名は過去二回アセスメントを受けていたので、今回で三回連続不合格となり、会社の規程で来年はアセスメントを受けることができません。再チャレンジは早くて再来年に持ち越しとなります。

 

上司が信頼して仕事を任せられる部下をどんなに推しても、アセスメントに阻まれて幹部社員に引き上げることができない – そんなケースは私の部門だけではありません。

 

アセスメントは論文の他、受験者が数人のグループに分かれて行なうディスカッションでの発言や対応の仕方を講師が“総合的に”見て合否を判定します。アセスメントを通過した社員は役員面接を経て最終合格者となります。

 

アセスメント導入初年度の惨状は以前の記事で触れましたが、ここ数年、合格者の人数がほとんど一定なのは、アセスメントが相対評価で行われて、必ず不合格者が出る仕組みになっているからなのでしょう。

lambamirstan.hatenablog.com

 

管理職が不足する日

会社が断続的に組織改編を繰り返してポストを減らしたため、管理職になる資格を有する幹部社員も減らそうとする意図は分かりますが、目先の人件費削減効果よりも、有能な人材を失う弊害の方が大きいような気がします。

 

どんなに仕事で結果を残して上司の覚えが良くても、幹部社員に昇格できずに“滞留”する社員の数は増え続けます。次の年に合格が約束されているわけでなければ、能力のある社員ほど、別の道を選ぼうとしても不思議ではありません。

 

他方、就職氷河期に採用を絞ったために、五十代前半以下の幹部社員の数は極端に少ない状況となっています。今はまだ幹部社員が余剰となっていますが、数年後には突然管理職の成り手が不足する日がやってきます。

 

幹部社員一歩手前で転職する社員は、自分の先輩の姿を見て会社に見切りをつけたのかもしれません。幹部社員候補を適正に評価するために採用したアセスメントが、人材の流出に拍車をかけています。