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仕事の付加価値(2)

低付加価値業務

AIチャットの業務への導入に伴い、会社の企画部門からは、来年度の組織目標に“低付加価値業務の見直し”と“余力資源の創出”を加えるようにとの“推奨”がありました。

 

“低付加価値業務”の定義がなされていませんが、定型の管理業務や会議の議事録作成など、収益のプラスにはならず、時間とコスト(人件費)がかかるものを付加価値が低い業務と言って良いと思います。

 

そのような低付加価値業務をAIがどこまで手助けしてくれるのかは分かりませんが、例えば、会議の内容を文章化する、所謂「テープ起こし」はAIならほとんど時間をかけずに出来るのでしょう。

 

しかしながら、私の経験からすると、何が言いたいのか要領を得ない発言をする出席者や、中身の無いやりとりが延々と続く会議も少なくありません。そのような会議では、議事録のドラフトはすぐに出来上がるものの、各発言者から発言内容の了解を取り付ける方が厄介で、それこそ付加価値の低い仕事に振り回されがちなのですが、AIはそこまでやってくれないでしょう。

 

そう考えると、AIチャットを導入したことで、社員の多くが低付加価値価値業務から解放されるとは俄かに信じられません。付加価値の低い仕事をしている側が業務の見直しをするのは当然のこととして、付加価値の低い仕事を現場に強いている側の考え方が変わらなければ、AIのメリットを享受することは出来ないと思います。

 

余力資源

個人的には、“低付加価値業務”と言うネーミングは好きではありません。各社員は、指示された役割を担っているわけで、その仕事の付加価値を自ら選ぶことは出来ません。もちろん、担当している業務の付加価値の高低と本人のポテンシャルとは関係の無いものですが、自分の担当している仕事を「価値が低い」と言われて喜ぶ人間はいないでしょう。むしろ、会社が「付加価値が低い」と認める仕事なら、簡略化するか廃止してしまえば良いだけのことなのです。

 

いずれにせよ、一定の業務をAIに任せることによって、役割分担の見直しを行なうきっかけが出来たことは歓迎すべきことです。私の部署に限って言えば、これまでも業務の棚卸しと効率化は行なってきていましたが、その結果として部署の時間外労働ゼロを達成しても、どこからか余計な仕事が舞い降りて来ることで“効率化のジレンマ”に陥っていました。

lambamirstan.hatenablog.com

 

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企画部門は“余力資源の創出”と言いましたが、足元の人手不足が解消出来ていません。少なくとも、私の勤め先に関して言えば、AIの導入で期待される効果は、各社員の業務負荷の軽減であって、余力資源の創出はその先の話なのです。

 

仕事の付加価値を数値化するのは簡単なことではありませんが、会社の売上増や経費節減に直接的に影響を与えない業務は、AIに肩代わりさせる以前に、切り捨てるくらいの英断が出来なければ、余力資源の創出を達成することは難しいと感じました。