和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

仕事の付加価値(1)

AIチャット

超保守的な社風の私の務め先でも、いよいよ(?)AIチャット・ツールを業務で使用することとなりました。

 

とは言え、AIチャットを使用するためのガイドラインすら準備出来ていないのが実情です。社内一斉配信のメールで、「AIチャットを使用する際にはリテラシーと倫理観を忘れずに」との注意を喚起がされただけでした。

 

IT部門がAIチャットの試験的な使用をしていたとの話は聞いていないので、恐らく“ぶっつけ本番”での導入なのでしょう。機密情報の漏洩リスクや予見困難なトラブルなどを十分検証しないままの見切り発車だとすると、大きな問題が発生した段になって“使用中止”となるかもしれません。そうなる前に、いっそのこと、AIチャットに「利用ガイドライン」を作らせてみたらどうかと思いました。

 

試用期間

さて、実際のAIチャットの使い勝手はどうかと言うと、私の想像を超えていました。

 

AIチャットに、特定の法律の解釈について複数の出版社のコンメンタール(法令の逐条解説)を比較してもらうと、数秒で結果を返してくれました。自分で調べるのとは比べ物にならないほどの圧倒的なスピードです。

 

「すでに時代にそぐわなくなっている法解釈」の事例についても調べてもらいました。これは、最高裁の判決によってコンメンタールの解釈が否定された事例なので、調べるのにもう少し時間がかかるかと思いましたが、ものの数秒で答えを返してくれました。

 

AIチャットは、使い方次第で業務時間を大幅に短縮することが出来そうです。ただし、「異なる法解釈の、どちらが妥当と思うか」を尋ねたところ、「自分で考えて判断することが大切」だと返ってきました。情報収集は頼りに出来ても、最終判断は生身の人間の責任であるのは当然で、私はその答えに失望よりも安堵感を覚えました。とりあえず、今のところは、法務部門の仕事が召し上げられることは無さそうです。

 

ちなみに、仕事とは関係無かったのですが、 AIチャットに、先日のWBC決勝での日本の勝因を尋ねたところ、監督采配と投手陣の優位性を挙げたのは、おそらく、解説者などの主要な見解を参考に、無難な回答を返したのでしょう。

 

ともあれ、あまり穿ち過ぎずに対話をする分には、話題の硬軟を問わず会話が成立するので、相手がAIであることに違和感を覚えることはありませんでした。

 

少なくとも、調べものは自分でやるよりもAIチャットに任せた方が効率的であることは分かりました。ただし、注意しなければならないのは、最終判断もさることながら、検索結果に誤情報が含まれていないかなど、情報の正確さについても生身の人間が判断しなければなりません。仕事上、どこまでの仕事をAIチャットに任せていいのかを見極めなければならず、そのための試用期間が必要だと感じました。(続く)