和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

娘の転職

娘の転職

上の娘が来年一月に転職することになりました。希望していた会社から内定通知書を受け取ったのは三連休の前日、最終面接を受けた直後のことでした。

 

昨年の今頃、娘は塞ぎ込むことが多くなり、心配性の妻は気が気でない状態でした。

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そんな娘でしたが、ここ数か月の間は吹っ切れた様子でした。私が“壁”を乗り越えたのだと勘違いしている間に、娘は現在の職場に見切りをつけて独り転職活動を始めていたのでした。

 

娘が転職することを私に打ち明けたのは一か月前のこと。すでに希望する会社は四社に絞り込まれ、それぞれの会社で最終面接一歩手前まで駒を進めていました。

 

娘の「転職宣言」は私にとって意外なものでした。独立心旺盛な下の娘に対して依頼心の強い上の娘。転職を考えるにしても自分で動き出すことはない。まずは妻か私に相談を持ち掛けてくるもの思っていました。私は娘の成長に軽い驚きを感じました。それと同時に心配が杞憂に終わったことに胸を撫で下ろしていました。

 

娘はと言えば、自分の転職そのものよりも、妻にどのように話を切り出すかを悩んでいました。

 

一社会人が転職するのにいちいち親の承諾は必要ありません。しかし、妻がこれまで、娘の登校拒否を本人以上に悩み、進学や就職を自分事のように喜んでいた様を見てきた私としては、自分に相談無しに決めた転職を妻が素直に喜べるのか - 考えるほどに、娘が感じている以上に私は心配になってきました。

 

転職話を打ち明ける

娘の転職を妻に打ち明けるタイミングを見計らっていた私と上の娘でしたが、我が家には機微に触れる問題に頓着しない人間がいます。下の娘です。

 

連休の初日。姉妹の間でどのようなやり取りがあったか私には知る由もありませんが、下の娘は嬉々とした表情で妻に姉の転職成功を伝えると、お祝いのケーキを買ってくると言ってそのまま出かけてしまいました。上の娘は外出中。家に取り残されたのは妻と私だけでした。

 

これが娘たちの算段だったのかは知りませんが、蚊帳の外だった妻に事情を説明するは私の役回りとなりました。

 

ところが、妻はあっけないほどに物分かりの良い母親に変身していました。私が隠し事をしていたことについてはやんわりと責められましたが、その後は、娘が自分で考えて行動するようになったことを喜んでいる様子でした。娘の人生、自分の出る幕はもう終わり、と思ったのかもしれません。

 

夕飯時になって、私の携帯電話が鳴りました。娘たちは外でお茶をしながら時間を潰していたようでした。娘の電話は、家に帰っても大丈夫かの確認のためでした。結局、そういう算段だったようです。