万引き防止
我が家の近所に野菜の無人販売所があります。売っている野菜は、それぞれ形が悪く、大きさが規格外なだけで、鮮度や味が落ちるわけではありません。最近はきゅうりが旬ですが、スーパーで買うよりも同じ値段で倍ほどの量が手に入ります。家計を守る身としては有難い味方なのです。
そんな無人販売所ですが、最近は私と同年代の奥さんが店番をするようになりました。訳を聞くと、“勝手に”品物を持って行ってしまう人がいるからとのこと。万引き防止の策とは言え、この暑い最中に外での店番は大変なことです。
いつもお世話になっている近所のスーパー。その入り口に、万引きは理由の如何に関わらず警察に通報するとの注意書きが貼られていました。以前からそのような貼り紙があったのを私が気付かなかっただけなのかもしれませんが、店側がより人目のつくところに注意書きを貼り直したのだとすれば、万引きが後を絶たないからなのでしょう。
普通の人の万引き
学生の頃、知り合いの実家のお店を手伝ったことがありました。食料品と生活雑貨を扱う店で、私は週に二日、三日、そのお店でアルバイトをしていましたが、私が働いていた一年足らずの間に、何度か万引きの現場に遭遇しました。
万引きと聞いて、当時の私は小中学生のイタズラの類だと思い込んでいましたが、パトカーに乗せられていくのは立派な大人ばかりで、外見からは生活に困り果てているようには思えませんでした。
捕まった万引き犯は、机に頭を擦りつけるようにして謝罪したり、開き直ったりと対応は様々でしたが、決まって代金を支払うので“今回だけは”見逃してほしいと言うのが常でした。
知り合いの父親は、店のオーナーとして買い物客を長く見てきました。以前は万引きと言えば、お金が無く空腹に耐えられずに食べ物を盗んでしまうようなケースが多かったようですが、最近は「ほんの出来心」が万引きの理由に変わってきたのだと言いました。
生活費に困っているわけでもなく、已むに已まれぬ理由があるわけでもない。ストレス解消や節約が目的なのだとすれば、店にとっては迷惑な話です。
普通の人でも、“出来心”で万引きをしてしまうのか、平然と万引きをしてしまうこと自体、心を病んでいる証なのか - 私には良く分かりませんでした。それよりも、私としては、自分の親くらいの年齢の万引き犯が許しを請う姿を見てやるせない気持ちになったものです。
今はどこのスーパーでも、店内には至るところに防犯カメラが設置され、おそらく保安員が目を光らせています。普通に買い物をする身としては、やましいところがなくても店内にいる間、ずっと監視され続けていると思うと良い気持ちはしませんが、それも仕方のないことなのでしょう。