議論の本質が見える会議

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新しい会議様式

コロナ禍の影響から、社内での会議の有り方も見直されました。法定の取締役会は依然として実際開催を維持していますが、業務進捗状況を共有するための、いわゆる「連絡会」はペーパーで済ませるなど、会議と呼ばれる集まりの回数は格段に減りました。

 

これには賛否両論ありましたが、在宅勤務と会議回数の削減を本格的に開始した4月から現在まで、業務に支障が生じているという声は聞こえず、関係者が頻繁に顔を合わせないと意思疎通が出来ないと言う一部の懸念は払しょくされた感があります。

 

私自身が無駄だと感じていた社内会議が激減したことで、本来の業務に費やす時間が増え、結果、部内の仕事の回転も格段に改善されたことを考えると、なぜ、今まで会議の見直しに取り組まなかったのか、幹部社員として私自身、もっと声を大にして見直しを提言できなかったのかと悔やんでいます。

 

また、どうしても必要な会議も、3密を避けるため極力ビデオ会議で行うようになりました。ある者は出社、ある者は在宅勤務。ビデオ会議は場所を選ばすに行なうことができます。会社の自席で“仕事をしながら”会議に出席することもできるため、会議室の予約や出席者のスケジュール調整にことさら気を遣わずに出席率を上げることもできるようになりました。

 

さらに改善効果として一番大きかったことは、ダラダラ時間を潰すような会議が無くなったことです。

 

ビデオ会議では各自、携帯電話やパソコンを使いますが、生の会議に比べて音声が聞き取りづらいことがあります。そのため、発言者や質問者は、出席者が聞き取り易いように言葉を選び、発言の趣旨を明確に伝える必要があります。

 

生の会議の場合、出席者の表情を見ながら、ある部分は端折ったり、ある部分はより丁寧に説明したりと調整を行ないますが、ビデオ会議の場合、“その場の雰囲気”と言うものを的確に捉えることが困難です。大会議室ではバレない居眠りも、ビデオ会議では誰が“舟を漕いでいるか”は一目瞭然。オブザーバーといえども気が抜けません。そんな自分の様子を知られたく無い出席者はカメラをオフにします。それがかえって、出席者が会議の話題に関心を示しているのか否かを分かりづらくさせています。

 

そのように、ビデオ会議では“間を持たす”ことができないため、長時間の会議には向きません。したがって、会議時間もコンパクトにする傾向にあります。これは非常に効果的で、これまでのダラダラ会議だと、会議が終わった後、「結局、何の話だったのか?」と言うような、結論の出ない会議や要領を得ない内容の会議が少なくありませんでしたが、ビデオ会議では資料そのものの構成も含めて方向性を明確にする必要があることと、会議時間が短く、議論に集中できることから、会議で出された結論や次のステップをどうするかなど、「方向性」を出席者が共有することが容易になりました。

 

講釈好きに出番無し

これまでの会議が何故長かったかと言うと、建前は関係者が一堂に会して議論を尽くすためには十分な時間が必要との理由でした。

 

しかし、実際の会議では ‐ 特に役員が出席する会議では ‐ 案件の起案部の説明は持ち時間5分程度で、その後ダラダラとした議論が始まります。役員からの質問の半分以上は本質ではない重箱の隅の話であり、また、一部の役員は、会議を持論を披露する場と勘違いしているため、これが会議を長引かせていたのです。事務局はそれを助長するかのように、会議の所要時間を目いっぱい取るようにしていました。これではスピーディーな意思決定など出来るはずがありません。そのくせ、会議の議事録には、牛のよだれのような冗長な議論は無かったかの如く、要点だけが簡潔に記載されます。結局、議事録に記載する価値の無い議論に費やされる時間の方が長いことを証明しているのです。

 

会議で持論を披瀝することが楽しみだった役員は、在宅でのビデオ会議が主流だった4月~6月は、ストレスフルな時間を過ごしていたと思います。ビデオ会議では、発言者各々が自分の意見や考えを手短に話して、できるだけ多くの参加者からの発言を促すようにしないと間が持ちません。参加者の一人が延々と話し続けると、おそらく他の参加者はカメラをオフにして、別の作業に取り掛かると思います。現に私がそうしています。

 

だからこそ発言者は、聞き手に配慮して、手短にかつ明確に話す必要があるのです。自分が話すことしか考えていない人間は、聞き手がどう受け止めるかを考えることが出来ません。会議室での会議では、つまらない話が始まったからと言って、席を立って退室することは出来ませんが、ビデオ会議ではカメラをオフにしたり、場合によっては音声をオフにして、無駄話に付き合わない方法が取れます。

 

まだビデオ会議が主流になってから日が浅いため、目に見えて効果を実感することが出来ないかもしれませんが、やがて、自分本位の、誰の心にも響かない話しかできない人間は、出席者が思わず手を止めて聞き入ってしまうような、中身のある話ができる人に淘汰されていくのではないかと思います。

 

それにしても、ビデオ会議では1時間もかからない役員会が、これまでは2時間近くの長丁場が当たり前だったとは、本質的な議論に会議の半分しか時間をかけていなかったと言う見方もできます。1時間の会議も2時間の会議も、議事録にするとたった5分で読めてしまう内容なのですから。