出世の道を外れたら(2)

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出世道を究める

会社勤めをしていると、何かと同期入社の動向が気になります。巨大企業でもない私の勤め先では、同期の人数もそれほど多くないので、全員顔と名前が分かります。新入社員として一緒にスタートラインに立ち、それぞれの配属先から双六のコマを進めて来ました。

 

我が社の人事制度は - 明文化されてはいませんが - 典型的な減点主義です。点数を減らされると、ほとんど挽回の余地は残されていません。また、仕事の成果もさることながら、上司からの“受け”が重視されます。どんなに仕事で成果を上げたとしても、上司の推薦が無ければ昇格できません。前回の記事で触れた、私の同期でかつて希望の星だった男も然りです。

 

lambamirstan.hatenablog.com

 

そんな昭和の香りがする会社も、ここ最近は社員の評価制度の見直しが何度か行われ、少しずつ“普通の会社”に近づいてきたと思います。しかし、今の40代以上は減点主義を生き抜いてきた者なので、表向き制度が変わったとしてもマインドセットはそう簡単に変えることはできません。私も例外ではありません。

 

会社に入るまで、私は当社の“出世術”など知るはずもなく、また、うぶな(?)新入社員としては、本来の業務も時間後の上司との付き合いも仕事と信じていました。

 

私は決して仕事をバリバリこなすタイプではなく、要領が良いわけでもなく、むしろ不器用な人間です。同期の中には、「どんなに頑張ってもこいつには勝てない」と思うような優秀な者もいました。特別何かに長けているわけでもない私としては、仕事を選り好みする資格など無いと思い、来る仕事は断らないことをモットーに会社人生を歩んできました。

 

これまでを振り返ってみると、私は、何か華々しい実績 - 例えば社長表彰を受けるような成果 - を残しているわけではありません。目の前の課題をコツコツと解決し、地道に成果を積み重ねてきただけです。途中、馬の合わない上司との軋轢から仕事を干されかけたこともありましたが、全般的には可もなく不可もなくというものでした。年功制度の下では、大きな失敗をしないことが成功の秘訣なのです。しかし、我ながら何と平凡な会社人生を送ってきたことでしょう。

 

山あり谷あり

私とは対照的に山あり谷ありの会社人生を歩んだ人もいます。私よりも1世代上の先輩社員。とにかく上に取り入ることが得意で、年功制度の会社では異例の飛び級で昇格した伝説を残します。しかし、好事魔多し。取引先を風俗店で接待したことが会社にばれて、地方の営業所に飛ばされてしまいました。

 

その後数年間雌伏の時を過ごしたその人は、不死鳥のように復活を遂げます。新しくできた部署の部長補佐に収まると、そこから、本社のメインストリートに返り咲くことに成功し、その後役員にまで登り詰めました。正に社内の人脈を駆使した復活劇でした。

 

山の上で会社人生を終える人もいれば、谷底から上がれずに終える人もいます。上司に嫌われて仕事を干されたまま定年を迎えた社員も少なからずおります。会社人生のゴールがバラ色か灰色か、そこには本人の実力とは別の、しがらみや運が存在するのです。

 

会社と自分

どのポジションであれ、担当する業務を遂行することが自分に与えられたミッションであり、責任を果たす義務があります。本来、責任を果たした“ご褒美”は社内外からその成果を認めてもらえることです。出世は単なる“副賞”でしかありません。

 

しかし、それを勘違いしている人間は、“副賞”しか眼中に無く、本来の仕事は部下に丸投げして、手柄は自分のものにします。仕事そっちのけで、自分を引き上げてくれるはずの上司に取り入ることに必死になります。週末の役員の接待ゴルフに付き合うのも、役員のために取引先のお偉方との懇親会をセットするのも昇進するためのこと。

 

当然のことながら、どこの組織でも上に行くほどポストは少なくなり、脱落する者が出てきます。私の会社も例外ではありません。脱落した者はそこでキャリアは終了。余程のことが無い限り敗者復活はありません。

 

また、責任感が強過ぎるあまり、自分で仕事を抱え込んでしまう者もいます。せっかく有能な部下がいても、仕事を任せる度胸がないため、役員への説明資料なども一から自分で作成しないと気が済みません。

 

上昇志向が高い者も責任感が強過ぎる者も、会社が一番大事だと刷り込まれてしまっています。しかし、自分の時間と労力を投じても、会社がその分の見返りを保証してくれるとは限りません。それに、会社にいられるのも定年までです。会社の肩書が外れた時に何も残らない人間になりたいでしょうか。

 

実はこのことは、“出世の道を外れたら”考えることではなく、若いうちから意識すべきことです。もっとも、今の若い方々は仕事一辺倒ということは無いと思いますが、仕事は人生のほんの一部、しかも“余人をもって代えられる”ものです。自分しかできないこと、自分以外に代わりがいない場所こそが、本来大切にすべきものなのです。