忘年会も様変わり

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昨年末、にわかに飛び交い始めた言葉に「忘年会スルー」というのがありました。話したくもない上司や同僚との飲み会に参加させられるなんて勘弁してほしい、という若者の声が目立ち始めたということなのでしょうか。もっとも、そのような、特に若手社員からの不満や不平は何も忘年会に限ったことではなく、今に始まったことでもないというのが私の認識です。

 

私の勤め先では、年末近くになると人事部から忘年会を行う上での注意事項がイントラネットに掲載されます。部員への参加強要の禁止。特定の部員への声掛け禁止。2次会の禁止・・・等、年々禁止事項が増えているような気がします。その影響からか、昨年は部署によっては忘年会を取り止めたところもありました。

 

昔話を引き合いに出すと若い方々に怒られてしまいますが、参考までに敢えて書くと、私の会社では、かつての忘年会はそれぞれの部署の若手社員の“仕事”でした。場所の手配や案内状(メールの無かった時代です)、会費の精算を若手社員がやるのが“当たり前”という風潮がありました。また、宴会の場を盛り上げるのも若手の務め。ビール瓶を持っての“お酌回り”やイッキ飲み、宴会芸の披露・・・。

昔の職場の宴会ではこのようなバカげたことを平気でやっていました。お恥ずかしい話です。

 

学生時代に宴会慣れしており、上司の扱いが苦にならないという者もいれば、ピエロ役は死んでも引き受けたくないと言う者もいます。そのような者にとって、宴会芸やイッキ飲みを強要する上司との飲み会を嫌うのは当然でしょう。おまけに、「あいつは仕事はできるが、付き合いが悪い」などと、業務以外のことで評価されてしまう始末。

 

今にして思えば、当時若手社員だった私も、同期や大学時代の仲間と飲んでいる方が気楽でした。わざわざ就業時間外に上司と飲みに行くことを楽しいと思ったことは無く、仕事上の付き合いと考えていました。おそらく上司としては、日頃こき使っている部下でも、飲みに連れて行ってやれば気も紛れるだろうくらいに考えていたと思いますが、無礼講だと言いながら、結局は宴席にまで上下関係を持ち込むようでは、余計疲れてしまいます。「嫌なら断ればいいのでは?」というのは今のご時世なら言えることでしょうが、あの頃の私としては、“使えない奴”、“部の雰囲気を乱す奴”と思われたくない一心でした。

 

詰まるところ、部下から見て“話が分からない”上司や先輩社員と名ばかりの懇親会を開いたからといって、心の溝を埋めることなど出来ません。日頃の上司・部下の関係が良好で、仕事の悩みや不満を話し合える間柄であるからこそ、業務外のプライベートな時間を割いてでももっと話したいという雰囲気が出来上がるのです。 

 

うちの会社の役員でも、下の人間から飲み会の声がかからないと愚痴をこぼすのがいますが、その前に、普段自分が部下とどのように接してきたか、宴席でどういう風に振舞ってきたかを反省する方が先なのです。気を遣って誘っても、「もっと高い店がいい」とか「女子社員が少ない」とか下らない文句ばかり言っているから誰からも声がかからなくなるのです。

 

自分は部下と良好なコミュニケーションを築けていると自信たっぷりな方でも、部下がどう思っているかは分かりません。一年間苦楽を共にしてきた部員を労う場が欲しいと考えていても、もしかしたら、それは独りよがりなのかもしれません。部下からしてみたら、「いやいや、あなたには労ってもらいたくありません」と思っているかもしれません。部下から自分がどのように見られているかを気にし過ぎるのも問題ですが、相手の気持ちを考慮しないで自分の考えを押し付けるだけではコミュニケーションとは言えません。

 

幸い、私の部では親睦会を企画してくれる若手社員がいるため、昨年の忘年会も彼に幹事を任せ、部員全員参加の非常に楽しいひと時を過ごすことができました。しかし、今年もそれが続くとは限りません。常に部下との対話を大切にして、相手の思いや悩みを汲み取れるように配慮することが私の務めだと思っています。

 

うちの会社では、若手社員にできるだけ忘年会に出てもらおうと、幹部社員が費用を負担することに決めた部署がありましたが、どうやら不発に終わったようです。そのような余計な気遣いをする暇があるのなら、業務時間内にもっと部下との対話に時間割くべだったのです。