和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

クリスマスの別れ

何でもない休日

クリスマス当日よりもイブが主役になったのはいつ頃からなのでしょうか。我が家も気が付けば二十四日に少しだけ贅沢な料理とケーキでお祝いするようになりました。

 

今年のイブは日曜日だったので、下の娘は予約していたケーキの受け取りとアルコール類の調達、私は家で料理の仕込み、と手分けをして準備を進めました。

 

次の日は平日なので、夕食を早めにスタートさせようと言ったものの、待ちきれなかった娘たちは日が暮れる前からすでに酒盛りを始める始末。妻と私もそれにつられて宴会に合流してしまいました。

 

夕食を終えて、ケーキも食べて、それでもまだ宵の口。それから家族四人で他愛のない話とお酒でイブの夜を過ごしました。

 

これまで何年もの間、日曜日の夜は、次の一週間のことを考えて気が重くなっていました。今は、家族と一緒にいる間は心も家族と一緒です。何でもない休日を何事もなく過ごすことで自分が満たされることを感じられます。

 

クリスマスの別れ

クリスマス本番の月曜日は、私とペアを組んでいた若手社員の最終勤務日でした。正午前に退職の手続きを全て終えた彼を、部署の数名で建物のセキュリティ・ゲートまで見送りました。ゲートの向こう側で軽く一礼したのが彼のフィアンセなのでしょう。二人はこれから彼の実家に向かい、そこで年末年始を過ごす予定になっていました。

 

ほぼ知識ゼロの状態から仕事を安心して任せられるようになった彼が会社を去ってしまうのは、会社にとって痛手であるのは当然のことながら、私としても残念でなりません。私が“残念”と感じるのは、頼りになる同僚を失ったこと以上に、彼と一緒に仕事をする時間が心地良かったからです。

 

また私は一人に戻ってしまいました。もちろん、部署の同僚は他にもいますが、拙いながらも自分の経験や知識を伝える相手を失ってしまうのは大きな喪失です。