和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

忍耐力と行動力

挫折耐性

仕事もプライベートも順風満帆であるに越したことはありませんが、私のこれまでの人生でそのような時期はとても短く、大半が大小の悩みを解決するために時間を費やしてきました。

 

何かを達成した爽快感よりも苦い経験を味わったことの方が圧倒的に多かったのですが、今こうして普通に生きていられるのは、失敗や挫折との向き合い方を学んだことが大きいような気がします。

 

受験の失敗と浪人生活から始まり、就職先も第一志望の会社では無く、就職後も仕事を干されたり、メンタル不調でしばらく仕事を休んだりと、公私の公の面では残念ながら“華々しい経歴”を手に入れることは叶いませんでした。しかし、そのような負の経験を自分なりに克服する過程で挫折感に対する耐性を手に入れることができました。

 

ただ打ちひしがれてるばかりでは前に進むことができません。負の経験から得るものがあったと考えることは、思い込みや自己暗示かもしれませんが、それも耐性のひとつなのだと思うようにしています。

 

行動力

私と同年代(五十代半ば)の同僚は、若い世代の考えが理解できないとぼやきますが、ほぼ間違いなく私たちが若い頃には上司から同じことを言われたはずです。

 

思うに、歳を重ねて「分別のある大人」を演じるようになると、その分別が邪魔をして少々尖った考えを受け入れることができなくなってしまうのだと思います。

 

先日、昇格試験に落ちた中堅社員が退職しました。初受験での不合格は最近では驚くようなことではなくなりましたが、彼女にとってはたった一回の不合格でも酷くプライドを傷つけられたそうです。彼女の慰留に失敗した上司は「最近の若い社員は堪え性がない」と嘆いていました。

 

上司が言った「堪え性がない」とは、挫折耐性の意味合いが含まれていたのだと思いますが、私は少し違う気がしました。仕事を行なう上で必要な忍耐力と不遇な状況を甘んじて受け入れようと我慢することは別物です。

 

私は退職した本人と直接話をしたわけではないので、本当に彼女がプライドを傷つけられたのか、堪え性がないのかは分かりません。しかし、彼女が早々に転職を決めたのは、彼女の見切りの早さ故だったのではないかと感じました。もしかしたら、彼女は昇格試験以前から転職を考えていたのかもしれません。昇格試験の合否如何で最終決断をしようを考えていた可能性もあります。

 

今のように転職機会に恵まれていれば、そして、自らの能力と実績に自信のある人であれば、会社からの過小評価や、希望するキャリアプランを実現できそうにないことを我慢する必要はありません。私のように一つのところに留まって打たれ強さを自負することなど無用なのでしょう。自ら環境を変える行動力こそ今の若い人々が必要としているものなのだと感じます。