和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

晩酌フリーと解禁日

ほぼ断酒

以前、毎日晩酌をしていた頃は、酒量が健康のバロメーターだと真面目に信じていました。いつもよりお酒が進まないとどこか体の具合が悪いのではないかと心配はしても、お酒を控えようは考えませんでした。

 

私が晩酌を止めたのは妻の闘病がきっかけでした。妻は気を遣われることをとても嫌います。そのため、私は「人間ドックの結果もあまり良くないので」、酒量を減らすチャンスだと言い訳をしました。肝臓の数値が悪いわけではありませんでしたが、脂肪肝の指摘を受けてたのは事実なので、私の言い訳はあながち嘘ではありませんでした。他方、娘たちには母親にあまり気を遣い過ぎないよう、お酒もおやつも好きにするように言い含めていました。

 

習慣的な晩酌を止めて、ほぼ断酒状態の私ですが、禁断症状は出ず体重は減り体調も良好と良い結果につながりました。

 

解禁日

そんな感じでここ三年ばかりは晩酌フリーの生活を続けていますが、完全に断酒しているわけではなく、妻の体調の良い時を見計らって“解禁日”を設けています。今までは、“質より量”の酒好き夫婦でしたが、たまの楽しみでは、我が家にしては少々お高めのお酒をゆっくりと味わうことにしています。

 

解禁日は二カ月に一回程度、週末の昼に落ち着きました。「昼から飲み始めた方が時間を気にせずに楽しめるから」と言うのは下の娘の提案でした。元々“解禁日”は私たち夫婦が暗黙のルールにしていただけで、娘たちは普段からそれぞれ好きな時に好きなだけ飲んでいたのですが、いつの間にかそれは家族全員のイベントのようなものになりました。

 

昼から飲み始めると、それだけで一日が終わってしまいます。かつての私だったら、たまの休みにはいろいろと外出の予定を立てていたと思います。

 

それは、休みの時間を有効に使いたいからに他ならないのですが、しっかりと予定を立てる割には、気がつくと仕事のことを考えてしまってあまり楽しくない週末を過ごすのが私の常でした。あの頃の私なら、昼間に家でダラダラしているのは時間がもったいないと言って、娘の提案には乗らなかったでしょう。そして、出歩く先々で仕事のことが不意に頭を過るような週末を過ごしていたはずです。

 

今なら分かることですが、どこでどう過ごそうと家族と一緒にいる限りもったいない時間など無いのです。休日の昼下がりに、時間を気にせず家族との他愛の無い会話とお酒を楽しむのは、もったいない時間などではなく、贅沢な時間なのだと思えるようになりました。