野菜がたくさん
毎年、この時期は家族そろって夏バテ気味で、食事もあっさりしたものが中心になります。
昨年の今頃、妻の闘病生活が始まるまでは、体力維持のための朝夕の散歩を欠かさなかったのですが、夫婦そろって張り切り過ぎたせいか、かえって疲れを溜めることになってしまいました。
今年は無理せず、気が向いたら夕方に少し散歩をする程度に留めています。とは言え、やはり夏バテ気味になるのは仕方の無いことなのでしょう。ここ数日の食事は、昼は麺類、夜も胃もたれしないメニューになりました。
ところで、妻には一回り上の姉がいるのですが、姉夫婦は今年から自治体の市民農園で野菜の栽培を始めました。コロナ禍で家に引き籠りがちにならないようにとの考えだったようです。野菜作りは上手く行ったようで、先週、自分たちだけでは食べきれないからと収穫したものが送られて来ました。
トウモロコシに絹さや、ナスに小松菜、ミョウガ、メークイン、万願寺唐辛子。段ボール箱二つ分の野菜は両隣のお宅にお裾分けをしても、まだ、冷蔵庫の野菜室に収まる量になりません。妻は「こんなに食べきれない」とブツブツ言っていましたが、折角送ってもらったものですから美味しく頂こうと思い、先週から野菜盛りだくさんの食事になっています。
食事に感謝
学生時代の貧乏生活。私は、買い物先で廃棄寸前の野菜やパンの耳を安く分けてもらいました。生活のためには恥も外聞もありません。八百屋と乾物屋が一緒になったような店によく通っていたのですが、常連になると、期限切れ寸前の物をおまけにつけてくれるなど気を遣ってもらうようになりました。
当時のコンビニ弁当やスーパーの総菜は私にとっては割高感があったので、食費を抑えるためには自炊が一番でした。ダイコンの葉は醤油と砂糖で炒めれば佃煮っぽいおかずになります。芽が出始めたジャガイモは、芽を取り除いて塩ゆでした後、マッシュポテトにして冷凍しておきます。決して栄養のバランスが取れていたかと言えば、必ずしもそうでは無く味もマンネリになってしまうのですが、空腹であれば何でも美味しく頂けるものです。台所で野菜と格闘していたら、そんな昔のことをふと思い出してしまいました。
さて、頂いた野菜。冷蔵庫の野菜室に入り切らない小松菜や絹さやは、下茹でした後、タッパーに小分けにして冷凍しました。ナスとミョウガは三杯酢とごま油を使って漬物に、万願寺は南蛮漬けにするなど、しばらく常備食には事欠かなくなりそうです。万願寺は唐辛子とは名ばかりで味はピーマンとほとんど変わりません。生のままでも、マヨネーズと七味唐辛子やコチュジャンにディップして食べればビールのつまみになります。
常備食づくりを言い訳にちょい飲みをし始めた頃、一緒に手伝ってくれていた娘たちが怪訝な顔で、野菜の形がおかしくないかと尋ねます。何かと思ったら、普段、スーパーで買うものと違って大きさや形がまちまちなことを不思議だっているのだと分かりました。
送ってもらった野菜はどれ一つとっても同じ形ではありません。娘たちにしてみれば、スーパーで売っている大きさや長さが整っている野菜にしか馴染みがありません。
私は娘たちに、野菜は大きさや長さがバラバラなのが本来の姿だと説明しつつ、この歳になるまでそういうことを教えて来なかった自分を恥じていました。そういえば、彼女たちは魚の下ろし方も知りません。娘たちにはもう少し料理にも関心を持ってもらえるようにしたいと思いました。
義姉夫婦からの贈り物で常備食を作っておいたお陰で、今週、私がワクチン接種後の副反応で倒れた時も食事に困らずに済みました。大変ありがたいことです。それと、体調が復調して美味しく食事が摂れるようになったこともありがたいことだと思いました。
美味しく食事を頂けることは、当たり前だと思ってはいけないですね。食べる物があって、それを美味しいと感じられる心と体が必要なのですから。