和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

二年前の夏、来年の夏

f:id:lambamirstan:20191026045002j:plain

大人の旅

結婚後に車を手放してからは、我が家の旅行は電車やバスが中心。どうしても車が必要な時に限りレンタカーを使いました。

 

2年前の夏、妻と一緒に東北に旅行しました。いつもの我が家流の旅程、そして、いつものように短い日程でしたが、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。

 

我が家流の旅行とは言うものの、若い頃と違うのは慌ただしくあちこち見て回らないようになったことです。かつての私は、せっかく休みを取るのだから時間を目いっぱい使い切ろうと、忙しない日程を組みました。対する妻はゆっくりじっくり派です。妻と私は何年も時間配分でつまらない喧嘩をしてきましたが、歳を重ねるとともに私の方が妻に合わせるようになりました。

 

また昔の私は、訪れる先々でカメラやビデオレコーダーで景色や娘たちを撮りまくり、その場を堪能することなど考えもしませんでした。出来るだけ多くの家族の思い出を残そう。それだけで頭がいっぱいでした。結果、帰宅してから写真やビデオを整理していると、「こんなところに行ったっけ?」と、家族の非難を浴びることもありました。

 

やがて、娘たちに留守番を頼めるようになり、夫婦水入らずの旅行を楽しめるようになってからは、一眼レフもビデオレコーダーも持って行くことは止めました。今は携帯電話のカメラの質も馬鹿に出来ないほどに向上しました。また、妻も勝手に自分の気に入った光景をカメラに収めているので、私が撮影係となる意味も無くなりました。

 

写真やビデオを撮ることに囚われなくなると、行く先々で五感をフルに使って旅を楽しめるようになった気がします。目に焼きつけようと思うとものの見方が変わるのだと、遅ればせながら知りました。

 

また、訪問先も変わりました。娘たちを連れてきたら、退屈だと文句を言いそうな場所を夫婦で時間を気にせずにそぞろ歩き、他愛無い会話に花を咲かせることで、安らぎを感じることが出来ました。

 

決して、娘たちを邪魔だと思ったことなどありませんでしたが、これまでのワイワイガヤガヤの旅行から、大人の旅行(?)に変わり、私もようやく旅行の醍醐味が分かるようになりました。

 

来年の夏こそ

奥入瀬のせせらぎは、時間を忘れて聞き入ってしまうほど心地良く、その場を離れ難い気持ちにさせました。妻は絶対にまた来たいと言いました。

 

妻は常日頃、同じ場所を再訪するよりも、いろいろなところを旅したいと言っていたので、敢えて「また来たい」と言うのは意外な感じがしたのですが、奥入瀬渓流が余程気に入ったのでしょう。

 

ホテルのスタッフの方から、「今年は水量が少ないので、渓流の本当のすばらしさを見せられず残念」と聞いていました。私も奥入瀬の本来の姿を見てみたい気になりました。

 

あれから2度目の夏を迎えようとしています。コロナ禍や妻の病気で、今年も東北再訪の旅は叶いませんが、来年こそ、妻を連れて緑溢れる渓流の音を聞きに行きたいと考えています。

f:id:lambamirstan:20210612045127j:plain

奥入瀬渓流