能力と運

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能力発揮の場はどこに

この世の中、自給自足で生活している人や、親から事業や遺産を引き継ぐなどしてお金に苦労しないで一生を過ごす人は稀です。ほとんどの人はお金を稼がなければ生きて行くことは出来ません。

 

自営業で身を立てる人もいれば、会社に就職して力を発揮する人もいます。自営にしても会社勤めにしても、労働力を換金することで生活の糧を得ているわけです。あるいは、投資でお金を増やすことに長けている人もいるでしょう。

 

そのようにお金を稼ぐ能力は生きて行く上で欠かせないものですが、それでは満足できない人がたくさんいます。会社勤めをしていれば、肩書が気になったり、同期の活躍が気になったりします。社宅に住んでいれば配偶者の会社での地位が、社宅の中での暗黙の序列になり、お金だけでは解決できないプライドの問題が発生します。

 

最近の若手社員の中には、余計な責任は負いたくないと言って、最初から管理職に就くことを拒む者もいますが、それでも、まだ “人並に”昇進したいと言う人は多いようです。そして、人並に昇進するには、事務処理能力や統率力と言った、本来業務遂行に必要な能力だけでなく、上司や先輩に良い印象を与えることも必要だと考える者が少なくありません。

 

同調力と協調性

前回の記事で、奥さんが臨月にも拘らず、また、在宅勤務が奨励されているにも拘らず、無理して出社していた元部下の話を書きました。周りが出社しているから、自分だけ在宅勤務では上司の覚えが悪くなる、と言った心理が働いたようです。

 

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周囲と同調しないと、「あいつは協調性が無い」などと見当違いなことを言う上役がいますが、周りに歩調を合わせることと、協調性の有無は別物です。しかし、同調と協調を依然として混同している者が多いのが現実です。

 

周囲に同調することはとても簡単です。盲目的に周りの真似をすればいいだけなのですから。協調性は、目標や目的を見失わずに、立場や意見の異なる複数の人間の交通整理をする能力なので、簡単に真似のできるものではありません。上司に逆らわないことが協調性では無いのです。

 

私は、入社したての頃、与えられた仕事さえきちんとこなしていれば、“それなりに”昇進するものだと考えていましたが、会社のシステムはそう単純なものではありませんでした。業務に関する処理能力や組織をまとめる統率力だけで評価が決まるわけではありません。昇進・昇格、果ては人事異動に関して一番影響力を持っているのは上司です。

 

自分の昇進に影響力のある人間に取り入ることも含めて“能力”だとするならば、目の前の仕事の成果よりも、如何に上役に可愛がられるか ‐ 上司の目から見て“協調性”のある社員だと思われるか ‐ を考えることが、会社でそこそこ成功する秘訣なのかもしれません。

 

もちろん、下の人間の潜在能力を見極めて配置を考える真っ当な上司もいます。しかし、上司は自分で選ぶことは出来ません。同程度の能力を持つ社員でも、上司に恵まれて順調に昇進する者もいれば、上司に恵まれなかったことで、ドロップアウトする者もいます。悲しいことですが、こればかりは運なのです。

 

しかし、自分の昇進や、自分の取り巻きを増やすことに腐心し、会社を良くしていこうという気概を失った人間が少なからずいる中で、自分の仕事が正当に評価されていないことを嘆くよりも、仕事は仕事と割り切る考え方を持つことや、自分の能力を発揮できそうな新天地を選ぶことの方が、心の奥に負の感情を持ち続けるよりも健全な道だと思います。それと、会社の仕事や出世を自分の人生の中心に置かないことの大切さに早く気がつくことが大事です。

 

在宅勤務でバレること

さて、在宅勤務が推奨される中での出社。私は、かえって周りと足並みを揃えて出社する方が楽なのではないかと思います。それは、「出社している=仕事している」という認識がまだまだ蔓延っているからです。

 

在宅勤務を数か月行なってきて確信したことは、目標管理がしっかりできない、あるいは自律心の無い人間は、仕事をサボりがちになり、上司が期待するような結果を生み出すことが出来ないということです。上司としては、部下がそうならないように、小まめに指示を出し、途中経過を報告させ、進捗状況を確認するなど、とても手間がかかることになります。

 

また、在宅勤務で、業務分担がより鮮明化されると、これまで部下や後輩に仕事を丸投げしてきた者の、“仕事の出来なさ” が丸分かりになります。ビデオ会議では、会議中にこっそり口裏を合わせることがしづらくなるため、即問即答が出来ずに立ち往生する社員が目立つようになりました。

 

在宅勤務では、ひとりひとりの持っている能力がストレートに表れます。これまで要領が良かっただけで高い評価を得られてきた社員は、その実力を丸裸にされることになります。

 

働き方が変われば、評価項目として重要視されるポイントも変わります。これまで同調力や忖度力に優れた従順な社員が重用された会社でも、ウェットな人間関係を排除した在宅勤務が主流になると、本当の意味での強調性が試されることになるのではないか、と思っています。