夫婦の生活は連帯責任 (1)

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家計の管理と夫婦の価値観

独り暮らしであろうと家族持ちであろうと、お金の管理を疎かにすると生活が破綻してしまうことは言うまでもないことです。

 

高収入が得られる会社に就職できても、リストラの憂き目に遭ったり、会社が倒産してしまう可能性だってあります。現時点で、安定した収入を得られていても、それが今後ずっと続く保証はありません。

 

一方、お金を使うことに関しては、増やすも減らすも自分次第です。収入の増減に関係無く、自分の間尺に合うお金の使い方を会得することが出来れば、死ぬまでそれを続けることが出来ます。もちろん、人生のステージによって出費が嵩む時期もあるでしょうが、基本的な生活レベルを維持出来れば、先行きの見通しを立てることは比較的容易になります。したがって、若いうちから自分に相応しい生活感覚を身に着けることと、それに即した家計の切り盛りができるようになっておくことは、お金を稼ぐ以上に重要なことだと考えます。

 

お金の管理と言う点では、独り暮らしであれば100%自己責任。生活感覚を養い、それに見合った暮らしを送れるかは全て自分次第なのですから、自己管理ができる人であればあまり苦労しないのではないでしょうか。

 

ところが、配偶者と一緒に生活する場合、自分の思いどおりに家計管理ができないこともあり得ます。双方の価値観の違いから家計の管理が上手に出来ないと、それが共同生活の綻びとなってしまいます。

 

高収入だけでは安心できない

これは私の会社の先輩だった人の話です。その先輩、Aさんにお子さんはおらず奥様と二人暮らしでした。奥様は都市銀行の営業職でAさんよりも高収入を得ていました。なぜ私がAさん夫婦の収入について知ってたかと言うと、Aさんが常々愚痴をこぼしていたからでした。

 

Aさんとしては、将来のことも考えて、二人の収入や出費をまとめて管理したかったようですが、奥様の同意が得られなかったそうです。奥様は、毎月の生活費は夫婦で折半して、給料の残りは自分で管理することを望んでいました。バブル崩壊後、都市銀行公的資金の注入で助けられていたものの、社員の給与水準はメーカーなどと比べるとかなり高いものでした。Aさん夫婦も例に漏れずでした。Aさんと飲みに行くたびに、「向こうの方が高い給料をもらっているのに、生活費は折半なのはおかしい」と、繰り返していました。

 

そんな状態なので、Aさんも、そしておそらく奥様も、お互いどれくらい貯蓄しているのか、あるいは投資に回しているのかなどを把握していないようでした。もしかしたら、相手の財布の中身など関心が無かったのかもしれません。

 

それから20数年が経ちました。Aさんとはお互いの異動などもあり、長い間一緒に飲みに行くこともありませんでした。久しぶりにAさんの名前を見たのは会社の人事発令でした。「自由選択定年」。Aさんは50歳を過ぎて早期退職の道を選んだのでした。私は当時海外にいたので、Aさんにお別れの挨拶をすることは叶いませんでしたが、帰国後のOB会でAさんと顔を合わす機会が訪れました。

 

若い時からやせ型だったAさんですが、久しぶりに見た姿はやせ型を通り越し、げっそりとやつれていました。そういう時はこちらから近況を聞いてはいけないのですが、一緒にいたAさんと同期の先輩が気の毒そうにAさんに声をかけました。二人の会話から分かったことは、奥様がリストラで銀行を退社し無職となったこと。その奥様の貯金がほとんど無かったこと。Aさんは早期退職したものの、老後生活のための資金を増やそうとマンションの管理人の仕事に就いたというものでした。どんなに高い給料を得ていても、将来のために何も残せないまま収入源を断たれてしまえば、不安だけが残る結果となります。

 

もし、奥様のリストラがもう少し早かったら、あるいは、奥様が全く貯金をしていないことが分かっていたら、Aさんは早期退職の道を選んでいなかったはず。そう考えると、夫婦がそれぞれ自分のお金を管理するとしても、お互いにどの程度の蓄えがあるのかは把握しておくべきでした。

 

せめてもの救いは、奥様に借金が無かったことです。夫婦のいずれかが相手の知らないうちに借金を抱えていたとしたら、また、返済に窮していても相手に知られたくないなどの理由で借金を膨らませていたら、円満な夫婦生活を営むことは不可能となります。

 

同居生活か共同生活か

私は、知り合いの夫婦がどんな風に家計管理するのか聞いて回っているわけでは無いので、はっきり断言できませんが、お互いの収入や貯蓄を知らない夫婦が意外に多いのではと思いました。家を購入する際、住宅ローンを検討し始めた時に初めて配偶者の収入を知った、という夫婦もいました。

 

夫婦それぞれの物の考え方はあるのでしょうが、せっかく二人三脚で生活しているのに、肝心のお金の管理で協力できないとなると、単に同じ屋根の下で同居しているだけで、夫婦としての共同生活のメリットを活かしきれておらず、残念な気がします。もちろん、そんなことは大きなお世話だと言うことは私も分かっています。(続く)