和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

続 結婚を考える前に

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それでも結婚に拘るのか

厚生労働省の人口動態統計(2018年度)によれば、年間の婚姻件数約59万組に対して、離婚件数約21万組と推計しています。これだけで、3組結婚しているうちの1組は離婚している、などと見るのは早計ですが、“死が二人を分かつまで”待てない夫婦は決して珍しい存在ではないようです。

 

また、すでに関係が破綻しているにも拘わらず、子供の学校の関係や世間体等離婚できない理由があって、婚姻関係を続けている夫婦も結構いるのではないかと思います。そのような、水面下ですでに破綻しているケースも含めると、うまく行っていない夫婦は相当数いるのではないでしょうか。そう考えると、良好な婚姻関係を維持している夫婦の割合は思いのほか低いのかもしれません。

 

かく言う私自身、それほど深く考えずに結婚してしまいました。結婚するのは簡単です。好き合った者同士であれば、勢いで結婚までたどり着けます。しかし、結婚生活を続けるとなると、勢いだけでは如何ともし難いものがあります。たとえ好き合った者同士でも、生活していく上での様々な苦労を乗り越えるのは大変なことです。

 

婚活に励んでいる人は、えてして相手にいろいろな条件を付けたがりますが、結婚相手とは本来、一生を共にするパートナーです。そのような覚悟無くして、結婚生活を維持することはできないと思います。

 

生涯を共にできる関係というのは、お互いがかけがえのない存在同士のはず。それは、見た目や財力で測ることのできないものです。

 

配偶者が突然職を失ったり、健康を害したりすることもあります。年齢を重ねれば容姿も衰えてきます。そうなったら、結婚相手の価値は無くなってしまうのでしょうか。捨ててしまうのでしょうか。結婚相手は自分の生活や将来のための安全装置でもアクセサリーでもありません。

 

パートナーリングという関係

私の後輩で、あえて結婚しない道を選んでいるカップルがいます。もう、かれこれ10年以上の付き合いになっていますが、お互いに結婚するつもりは無いようです。付き合ってはいるものの、一緒には暮らさない。お互いの家を行き来したり、旅行やデートを楽しんだりと、傍から見れば普通の恋人同士と変わらない関係を続けています。

 

この二人、大学の同級生で、実際に付き合い始めたのは30歳直前になってからでした。当初は、“何となく”時期が来たら結婚することを考えていたようですが、両親から(どちらの両親かは言葉を濁していましたが)同居や、子作りなど、結婚後の生活にあれこれと口出しされたことに嫌気がさし、お互い相談の上、“結婚しない”ことを決めたのだそうです。

 

結局、親が望む結婚像の押し付けが子供を結婚から遠ざけることになりました。二人は親からの干渉を嫌い結婚しないことに決めましたが、別れるわけではありませんでした。駆け落ちすれば後が面倒、一緒に暮らさないといけない理由もない。そこで、これまで通りの関係を続けることを選んだわけです。その後も“交際”は順調に進みました。親との関係はさておき、二人の間で何か問題が生じたわけでは無く、お互いの信頼関係は結婚しないと決めた後でも変わらなかったのでしょう。

 

現在、二人は40代半ば。これまで、どちらかの転勤で数年の間「遠距離恋愛」のような状態になったこともあったようですが、それも乗り越え、良い関係を維持しています。この二人のように、“べったり”ではなく、お互いにとって適度な間合いを取ることで、楽しいことや悩みを共有できる良好な関係を維持しているケースもあります。

 

必ずしも結婚という形式を取らなくても、お互いに尊重し合えるパートナーと生涯を共にすることは可能です。逆に、形式や体裁に拘り過ぎて、自分にとって最良の相手を逃してしまっている人も多いのではないかと思います。

 

既婚か未婚か

公の書類に限らず、何かの申込書や申請書等でよく訊かれる、既婚・未婚の別。私としては何となく違和感を覚えます。「既婚」という言葉には、いかにも結婚することが人生のマイルストーン、あるいは必要条件であるかのような印象を受けます。これに対する「未婚」は“未熟”や“未完”の如く、何となく一人前ではない、足りていない、と言ったネガティブなイメージを連想させます。

 

そんな「未婚」の持つあまり良いとは言えない語感を嫌ってか、「非婚」という言葉も使われています。あえて結婚しないこと選択すると言う意味合いですが、個人的にはこちらの言葉も何となく奇異な感じを抱いてしまいます。というのも、人生、どのような出会いが待ち受けているか分からないわけですから、何も始まっていないうちから、「結婚しない」宣言をする必要など無いと思うのです。

 

誰かと付き合うのも一緒に暮らすのも、または、独りで生きて行くのも、自分に一番合っている生き方であればいいわけです。結婚する・しないも然り。余計な拘りを捨てて、自分とパートナーにとって最善と思う道を選べばいいだけの話です。