本当の成果主義とは

f:id:lambamirstan:20191026045002j:plain

中途半端が一番良くない

企業の人事制度が年功主義から成果主義へシフトするのは世の趨勢です。結果を残した人は、年齢や勤続年数に関わらず相応の報酬を得て相応の役職に就くことができる制度ですから、だれもそれに反対はしないでしょう。

 

私の勤め先も例外ではなく、有能な人材のモチベーション維持と外部流出回避のため、早期の成果主義導入は避けて通れない道です。また、定期昇格制度廃止による人件費削減という効果も人事部の狙いです。

 

とは言いながら、かかる制度の変更は、会社においては給与体系やポスト管理などの整備を伴うこと、また、従業員の理解と納得感を得る必要があるため、一朝一夕に行うことはできず、非常にもったりしたペースで制度改正を進めているのが現状です。

 

私の会社に成果主義が導入されたのは、もう10年以上も前になります。年度の初めに一年間の業務目標を立てて、達成度合いを査定して賞与に反映させるというものです。また、年間の目標達成とは別に能力評価も行い、昇進可否の判断を行うというものです。

 

しかし、賞与のうち目標達成の度合いが反映されるのは、ごく一部なので、最高評価の者と最低評価の者との差額は驚くほどの開きはありません。また、能力評価も、最高評価が得られれば、各階級での滞留年数が短縮されることはありますが、これとて飛び級があるわけでもなく、“少しだけ昇進が早い”程度の話です。

 

このような制度改正について、社内アンケートでは世代間で主張が完全に分かれています。

若手・中堅社員の中には、ラインから外れ、暇を持て余している(ように見える)窓際の中高年社員が自分たちより高い給料をもらっていることに納得がいかないと不満をこぼし、一日でも早く完全な成果主義への移行を会社に訴える者がいます。他方、中高年社員の言い分は、若い時に安い給料で働いてきた分を取り戻しているだけ、という意見が結構多いようです。

 

私も年功制度のメリットを享受してきた身であるため、この制度が続いた方が楽だと思っています。一方で、組織の活性化のためには、能力のある人材であれば年齢に関係なく、適当と思われるポストに登用すべきだと考えます。有能な人材ほど自分が会社から正当な評価を受けているかを敏感に感じ取ります。したがって、私は – 同世代から裏切り者と言われるでしょうが – 成果主義の完全導入には賛成の立場です。

 

年功主義か、成果主義か。世代によって意見が異なりますが、どちらが正解というものでもありません。ただ問題はこのような状態を放置している人事部で、成果主義導入後、制度移行完了までの目途が立たず、どちらの世代から見ても中途半端な状態が続いているため、不平不満が収束しないのです。

 

歯向かう奴は出来が悪いのか

また、頭の痛い問題は、評価する側の上司が部下の評価を適正に行えないことです。評価システムを導入した際に社外講師を呼んで客観的な評価方法について散々レクチャーを受けたはずなのですが、いざ蓋を開けてみると、全く使い物にならない評価結果が続々と出てきました。

 

ある部長は自分の部下を高く評価し過ぎていました。学校だったら、あるクラスの全員がオール5のような状態です。また、別の部長は、自分に反抗的な態度をとってきた部下に最低の評価をつけました。このようなことが続いたため、結局は人事部が“最終調整”を行い、部署間の不均衡な評価を是正するようになり、今日に至っています。人事部の最終調整もいいですが、評価者である上司の再教育の方が先のような気がします。今時、部下に対して報復人事めいたことを行うなんて同年代の私ですら驚いてしまいます。

 

経営陣への通信簿

担当業務の出来栄えによって評価され、給料や昇進に差がつくことは自然の流れとして会社の制度として根付くことでしょう。ここ1~2年で、徐々にではありますが年功序列が崩れつつあります。課長よりも年下の部長を置く部署もポツポツと登場し始めています。来年度からは、同年代でも役職についているかいないかによって給料に差がつくことが決まりました。少しずつですが、私の勤め先も“普通の会社”に変わりつつあるようです。

 

しかし、経営陣にはこのような査定はありません。役員の報酬も賞与も株主総会で承認されてしまえば、あとは社長一任で分配されます。その年度に成果を上げられなかった役員でも大幅な減俸はありません。社員に対して成果主義を強いるのであれば、まずは役員自らが成果主義の洗礼を受けるべきだと思います。社員が社長以下役員の業績評価を行い、それに基づいて報酬や賞与の分配を行うことにすれば、会社も社員の評価をおざなりにはできないのではないでしょうか。