和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

「残りの人生」をいつから始めるか

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それでも払拭できない老後の不安

ブログを始めてから老後をテーマにした記事をいくつか書いてきました。現役時代から年金受給後まで安定して持続可能な生活レベルとは何かを考えることで、金銭的な不安は軽減できると考えていますが、今一つ根源的な不安の解消にたどり着けていない気がしていました。

 

やはり、そこには老後というステージがいつ終わるのか - 何歳まで自分は生きられるのか - が確定していないことと、お金で解決できない問題から目を逸らしていることが原因だと思っています。

 

どんな老後が待っているか想像してみる

私は決して悲観主義者ではありません。しかし、老後のための準備という点から、“縁起でもない”ことを想像することは必要なのかもしれません。

 

老後、娘たちが独立して、夫婦2人での生活となったとき、毎年2人で旅行したり、好きなことを楽しんだりできる期間がどれだけ残されているか。厚労省の報告書では、「日常生活に制限のない期間の平均」は、年金受給年齢を65歳とすると、男性で7年余り、女性で10年弱というのは、以前お伝えした記事のとおりです。

lambamirstan.hatenablog.com

 

これは、あくまでも統計の話ですが、私たち夫婦がこの統計のとおりだったとすると、誰の手も借りずに夫婦2人だけで気ままにレジャーを楽しめるのは、7年ほどということになります。7年というと、あっという間のことです。もちろん、繰り返しになりますが、これは統計上の話。とは言え、アウトドアや旅行以外で、“日常生活に若干の制限が生じた後でも”夫婦で一緒に楽しめることを見つけておく必要があると感じました。

 

また、夫婦のどちらかが死んだ場合のことを考えてみます。幸い、私も妻も家事や炊事はこなせますので、独り暮らしになってしまっても、健康であるうちは家の中のことは支障なく行えます。ただ、死ぬまで話し相手がいないというのは何とも侘しい限りです。もちろん、娘たちはいますが、もし、彼女たちがそれぞれの家庭を持っていたとすれば、あまり親の面倒に時間を割いてほしくはないというのが正直な気持ちです。そうならないように、何か外部との交流の機会を作っておく必要があるのかもしれません。それが趣味の集まりであれ、ボランティア活動であれ、社会的なつながりを持つことは健全な心身を保つことになると考えています。

 

ところで、会社の同僚や部下にそれとなく聞いてみると、共働きの家庭が珍しくない今日でも、家事や炊事の大部分を奥様にお任せ状態のところが依然多いようです。これは由々しき事態ですよ(私の勤め先だけかもしれませんが)。それこそ“縁起でもない”話ですが、老後、奥様に先立たれた後、食事はコンビニ弁当か外食、家は散らかり放題・・・とならないよう、男性陣はこれからでも、家事分担を見直した方がいいのではないかと思います。

 

夫婦のいずれかが先立った場合よりも厄介なのは、寝たきりとなってしまった場合です。私は、妻が寝たきりになった場合でも、可能な限り自宅で面倒を見てあげたいと考えていますが、逆に自分が寝たきりになった場合には、介護施設に入れてもらいたいと思っています。男性が女性の面倒をみるのと、その逆とでは肉体的な負担が違うからです。このあたり、私たち夫婦でもまだ結論が出ていませんが、折に触れ話をしています。

 

不安を受け止めてみる

老後の不安は考え出すときりがありませんね。しかし、想像しうる範囲でそのような不安をさらけ出し、ご夫婦で話し合うことで、自分たちが何を恐れているのかを受け止め、心の準備を行うことができるのではないかと思います。また、世帯者・独身者に関わらず、同じような不安を抱えている人は少なくないでしょう。身の回りや、SNSで思いを共有できる友人を探すことも可能な時代です。

 

“縁起でもない”話を日ごろから話題にするのは、殊すでに老後生活に入っている先輩方からしたら、「けしからん」ことかもしれませんが、むしろ、もう少し若い世代に属しているうちから、前向きに議論することは悪いアイデアではないと考えます。

 

私自身も偉そうなことを言える立場ではありません。

父親はすでに20数年前に他界しており、今は老齢の母親が片田舎で独り暮らしをしています。母親は舅姑と折り合いが悪かったので、一緒の墓には入りたくないと言っています。では、どうしたいのか、となるといつも有耶無耶で話が終わってしまします。自分が死んだときのことを息子が話題にするのは“縁起でもない”ことかもしれませんが、これもまだ母親が口達者なうちにできること。今度会ったら、逃げずに話をしたいと思います。

 

「残りの人生」を今から考える

老後のことを考えるのに定年まで待つ必要はありません。定年後の「残りの人生」を今から少しずつ始めてもいいわけです。現役世代の中には、老後の不安はあるが仕事に追われてそんなことまで考える余裕はない、と仰る方もいるでしょう。しかし、あなたが、仕事一辺倒の人間だとしても、自分の頭の中のほんの一部に老後のことを考える隙間を用意しておくことは可能だと思います。週末のわずかな時間に夫婦で話の場を作ることだってできます。そうして定年が近づくにつれ、老後のことを考えたり、準備のために費やす割合を少しづつ増やしていければ、現役時代から老後生活へ継ぎ目のないシフトが可能となります。

 

私たち夫婦の場合は、これから、夫婦共通の趣味や楽しみを一つでも多く作っておくこと、また、趣味のサークルなどのコミュニティ探しが老後に向けての課題といったところでしょうか。料理下手な男性陣は奥様のお手伝いをするとか、料理教室に通うというのも老後に向けた準備活動になるのではないでしょうか。

 

先日、退職した会社の先輩は、「家にいても暇だから」という理由で再雇用嘱託となりましたが(その理由の真偽は別として)、家にいて暇ということは決してありませんよ。家事は探せばいくらでもあります。老後生活は結構忙しいと思っています。