早過ぎた鍋
例年、十月に入った最初の週末は、夏物と冬物の入れ替えを行うのですが、今年は寒くなったかと思えば汗ばむ日が戻ってきて、衣替えを見送ったまま一週間余りが過ぎました。
先日は、気温の低い日が続く予報が出ていたので、鍋料理が好きな下の娘は、頼まれもしないのに食材を買い込んで帰ってきたのですが、思いのほか気温が下がらず、汗を流しながらの我慢大会のような夕食になってしまいました。
今までは家族全員そろって食卓を囲むのは週末くらいでしたが、この二年は平日でも四人そろっての夕飯が珍しく無くなり、鍋料理の出番も増えました。それに伴って娘はいろいろな鍋の素を買ってきては試すようになりました。中には、私にとっては時代の先を行き過ぎているような味の鍋もありましたが、新しいものにチャレンジする娘は食卓のマンネリを打破してくれる存在です。とは言え、今年はまだ鍋には早過ぎました。
その“我慢大会”の前日に娘の卒業写真の前撮りをしたのですが、冬用のスーツを着た私は、最寄りの駅から写真館まで十分足らずの道のりで汗だくになってしまいました。こんなことなら夏用のスーツをクリーニングに出すのをもう少し後にすれば良かったと思いましたが、十月に入れば涼しくなるものと勝手に思い込んでいた私が馬鹿でした。
季節はなかなか暦どおりに変わってくれません。朝晩は大分涼しくなり、さすがに最近はエアコンを点けることはなくなりましたが、まだ日中は扇風機のお世話になる日もあります。今年は秋らしい日が来るのはもう少し先なのかもしれません。
肉球スタンプ
衣替えと同じく、今月の予定にウッドデッキのペンキ塗りがありました。昨年やりそびれていて、今年は梅雨明けから、「そのうちに」とタイミングを見計らっていた私でしたが、そうこうしているうちに猛暑が続いて一日延ばしにしていた作業でした。
たぶん、そんな私を見かねたのでしょう、下の娘が手伝いを買って出てくれて、先週末、悪天候の合間の晴日に父娘で外作業を行ないました。
ペンキ塗りは重ね塗りをすることにしていて、午前中に一回目の作業を終えて、昼食後に二回目の作業に取り掛かろうとしたところ、ウッドデッキを横切るように猫の足跡がつけられているのを発見しました。
たまに街中でも、きれいにセメントを流し込んだところに、くっきりと肉球のスタンプがついているのを見つけることがありますが、我が家の場合もそれと似たようなものでした。セメントにしろ、ペンキにしろ、猫は塗りたての物の上を歩くのが好きなのでしょう。最近見かけなくなった野良猫が“犯人”だとしたらと思うと、不思議と腹立たしい気持ちにはなりませんでした。
お札とかき氷
今月はもうひとつ、家内安全のお札の買い替えの予定があります。“予定”と言うほど大袈裟なものでは無く、今月中にどうしても買い替えが必要と言うものでもありません。
我が家の場合、お札の買い替えを言い訳にして、神社の帰りに立ち寄る甘味処が真の目的地でした。妻はそこのかき氷が気に入っていたのですが、昨年は年の瀬にお札の買い替えをしたため、「あんみつしか食べられなかった」とクレームが入りました。今年は、寒くなる前に妻のお気に入りの甘味処を目指したいと思っています。
歳を重ねると時間の経つのが早く感じるようになりますが、毎年の家族の行事が待ち遠しいと思えば思うほど、さらに一年があっという間に過ぎて行きます。
ほんの数年前までは、平日の夜は翌日の仕事のことを考えて寝疲れなかったり、日曜日の夕方は何となく憂鬱になったりと、焦燥感や不安感が常にまとわりついているような私でしたが、それに比べると、今の平穏な状態は本来の自分が望んでいたものなのだと思います。
“今月の予定”にしても、待ちに待ったビッグイベントなどとは程遠い、ちょっとした用事の類でしかありませんが、そのひとつひとつが愛おしく感じられるのは、私の心に余裕が生まれたからなのだと思います。