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組織改編と若手の離脱

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組織改編

前々から噂が飛び交っていたので驚きはしませんでしたが、私の属する本部が新年度に組織改編されることが今週になって部員全員に知らされました。

 

新規事業のための別組織の立ち上げに伴って、本部から少なく無い人数の部員がその新組織に異動となります。異動者への内示はこれから別個に行なわれるとのことですが、年度末の慌ただしい時期に“大異動”の話が飛び交うことは、本業に少なからず影響を与えることは否めません。

 

もっとも、噂はすでに年末までに既成事実になっていたため、関係する誰もが組織改編自体を冷静に - 冷ややかに – 受け止めたようです。

 

それにしても、現行の組織が抱える問題点の洗い出しを行なわずに“箱”だけを刷新したのでは、問題の先送りをしただけで、将来のどこかの時点で“調整”を行なう羽目になります。

 

人的リソースの有効活用や組織の贅肉削減は必要ですが、組織改編をするとそのような効果が漏れなく得られるわけでは無いことは、これまで何度も組織改編を経験して来た社員にとっては分かりきっていることです。贅肉を削ぎ落したつもりが必要な筋肉まで減らすことになる可能性もあるのですから。組織改編よりも先の、“やるべきこと”から目を逸らし続けている経営陣の笛で踊ろうとする社員はほとんどいないわけです。

 

また一人

若手・中堅社員の転職が止まらないことは別の記事でも触れましたが、先月、そして今月と、本部の働き手数名が会社を去って行きます。私の元部下もその一人です。これで何人目なのか数えることもしなくなりました。

lambamirstan.hatenablog.com

 

彼女は、以前から関心のあった分野の勉強をするため、いずれは退職するつもりでしたが、昨年の秋頃に組織改編の話を耳にしたことから、計画を前倒しして海外の大学院の審査を受け見事合格しました。入学は今年の秋なので、もう少し働くことは出来たのですが、入学までの半年余りの間、自分の勉強に時間を割きたいと退職を決意しました。

 

私が彼女からその話を聞かされたのは年明け早々のことでした。私の頭を過ったのは、新年度の組織改編の人員配置の素案はほぼ出来上がっているはずで、誰かが欠ければ“玉突き”のやり直しになることでした。恐らく、彼女の上司は慰留に必死になるでしょう。せめてこの夏まで退職を先延ばしできないかと。

 

私は彼女に有給休暇の日数残を調べさせたところ、2月末日を退職日とすると、1月某日が最終出社日となることが確認できました。正味10営業日あれば引継ぎには十分。もし、課内の同僚に余裕が無く、別の部署から後任を探してこなければならないなどと上司から言われた場合に備えて、きっちりと引継書を作らせました。

 

退職願は私が持っていたひな形を“プレゼント”しました。退職願は原則直属の上司から人事部に提出することになっているのですが、かつて部下の退職願を握りつぶした不届きな上司がいたので、彼女には、上司に退職願を提出した後、自分で人事部にその旨連絡するよう言い含めておきました。

 

なぜ、私はそこまでして彼女の退職を後押ししたのでしょう。もし、彼女が人間関係や仕事が嫌になって会社を辞めたいと打ち明けたなら、一緒に悩んで何とか解決の道を探っていたかもしれません。

 

しかし、彼女はすでに進むべき道を自分で決めていました。後輩が前を向いて歩き始めたなら年長者が出来ることはそれを応援することしかありません。

 

彼女の最終出社日には、すでに私は完全在宅勤務となっていたので直接会うことは出来ませんでした。ビデオ会議システムも出社している側からすると人目が気になります。結局最後はチャットでお別れの挨拶をすることになりました。

 

予想どおり、彼女は上司からしつこく引き留められたようですが、無事に最終出社日を迎えられました。また、ほとんど同じタイミングで彼女の同僚も退職するため上の人間は頭を抱えているようでした。

 

組織改編でスタッフの頭数が減っても即座に仕事が減るわけではありません。工夫してようやく就業時間内に仕事をこなしてきた者は、人員減のしわ寄せによって残業が増えたり、休みたい時に休暇が取れなかったりすることがあるかもしれません。

 

組織は、仕事を適宜吸収できるような陣容が必要です。何とか回せるからと必要最小限の頭数にしてしまえば、仕事は属人的になり、いざと言う時に誰も代わりを務めることが出来ません。思うに、自分で仕事をしたことが無かったり実務から離れて時間が経ったりすると、そのような基本的なことを忘れて、目先の効率化だけを考えてしまうのが管理職病なのかもしれません。

 

4月以降、組織改編で疲弊する社員が増えた時、会社はどんな手立てを考えるのでしょうか。一層の効率化では無く、仕事を減らすことを考えなければならない時期に差し掛かっています。