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転職の心得

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転職もキャリアパスのアイテム

転職が珍しいことでなくなった今、労働力の流動性が高まるにつれ、さらに転職の動きが加速することが予想されます。雇う側からすれば、即戦力として期待できる人材が労働市場に豊富に供給されるというメリットがあります。即戦力を求める企業が増えるということは、働く側からすれば転職先の選択肢が増えることにつながります。

 

これまで、キャリアパスというと、特定の職位に必要な業務経験や資格取得、及び国内・海外転勤などの異動時期を組み合わせたマイルスストーンを指していました。事業所をいくつか抱える会社であれば転勤がつきものです。部署を異動しながら知見と経験を蓄積し、昇格していくのが日本流のキャリアパスでした。これは働く側としては、会社の人事構想や人材登用にうまく乗っかることができれば昇格の道が開けますが、自身の思い描くキャリアパスとは必ずしも一致しない可能性があります。

 

転職はそのような、会社の思惑と本人の目指す道とのミスマッチを克服するための手段にもなります。自分の将来像をイメージできる人であれば、そのために必要な知識と経験を得る筋道を定め、社内でそれが叶わなければ別の会社の門を叩くという行動に出るでしょう。あるいはもっと積極的に、最初から転職することを前提としたキャリアパスを描く社員が出てきても不思議ではありません。

 

もっとも、中途採用を行う会社としても、30代半ばの中堅社員であれば転職経験は1~2回程度というのが受け入れ可能な対象ではないでしょうか。あまりに転職経験が多いと、ストレス耐性が無いなどと勘違いされる可能性もあります。

 

しかしながら、このような傾向は今後変わっていくと考えられます。仕事を通じたスキルアップや資格取得はこれまでどおり重要視されるでしょうが、キャリアアップのための転職は見方が変わってくると思います。しっかりしたビジョンを持って勉強に励み、能力の向上を活かす目的で積極的に転職を行ってきた・・・。このような人物が中途採用で求められる日も近いのではないでしょうか。

 

自分の得意分野を強化しよう

今の若い人から見れば、私などは反面教師の典型です。大学では会社法を専攻していましたが、入社後は人事部を皮切りに、関連会社の総務部に出向、その後、国内外のプロジェクトの運営に携わり様々な業務を広く浅く行ってきました。いい言い方をするとジェネラリストとも言えますが、要は「何でも屋」です。私の世代ではキャリアパスを考えながら仕事をするという意識が希薄で、会社も社員ひとりひとりの育成・能力強化を踏まえた異動など考えてもいませんでした。従って、上司からの指示をそつなくこなすことに明け暮れていると、私のような器用貧乏で終わってしまいます。

 

私としては、若い世代の人たちには、学校で習得した科目で自分が得意とし、かつ、「これで飯を食おう」と思えるような分野で自分に磨きをかけていってもらいたいと思います。これだけは他人に負けないという武器を持つことと、常にその武器に磨きをかけられる部署で働き続けることが大事です。そして、会社でこれ以上自分の能力を活かせないと判断したなら、躊躇することなく次の働き先を探し始める・・・というのがこれからの働き方になるような気がします。

 

キャリアアップに会社のブランド力は不要

私は何が何でも転職すべきと言うつもりはありません。 私の勤め先の若手・中堅にもできるだけ一緒に仕事をしてほしいと思っています。

 

しかし、いわゆる“いい会社”に入れば将来は安泰、という時代はとっくに終わっているのです。私が就活生だった頃は、金融機関が人気の的でした。しかも、証券会社や銀行は大量採用を行っていたので、希望すれば簡単に銀行マンや証券マンになれる時代でした。もし私が天邪鬼でなければ、私も銀行や証券会社を多数訪問していたことでしょう。しかし、銀行業界や証券業界はこれから、大リストラ時代を迎えると言われています。30年前、誰がそのようなことを想像したでしょうか。

 

このように、バブル期の就職人気企業と現在のそれとは随分顔ぶれが異なります。廃業している会社すらあります。今業績が良く、就活生からの人気を誇っている会社が、これから10年、20年後も“いい会社”であり続けているという保証はどこにもありません。

 

そう考えると、どこに勤めようと自分の能力向上の努力を怠ってはならないと言うことは分かってもらえると思います。逆に、会社のブランド力は能力向上のためには不要です。

 

さて、どんなに重宝がられる能力だとしても、それが、社内でしか役に立たないようなものでは意味がありません。外の世界で潰しが利かなければ、転職の機会を手に入れることは困難で、会社が沈めば自分も沈んでしまいます。そう考えると、やはり、自分自身の「商品価値」を高める努力が大事だということが分かります。