和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

睡眠時間増加計画

お医者さんの勧めで、睡眠時間を増やす努力を始めてかれこれ四年あまりが過ぎようとしています。学生時代から習慣化していた睡眠時間は三~四時間程度。それでも勉強や仕事に支障はなく、自分はショートスリーパーなのだと信じていました。

お医者さんからは、八時間程度の睡眠時間を確保するよう言われました。その時に私の頭に浮かんだ言葉は「時間がもったいない」 ― ただでさえ時間がいくらあっても足りない状況で、寝る時間を増やす必要があると言われても、今までの約二倍の時間を睡眠時間に充てるのには強い抵抗がありました。それに、そもそもそんなに長い時間眠れる自信もありませんでした。

若い頃から、健康診断や人間ドックの問診の際に、睡眠時間が不十分だと言われてきた私でしたが、それまではせっかくの専門家の忠告を聞き流してきました。一方で、帯状疱疹や尿路感染症の診察の際に、免疫力の低下を指摘され、自分としても老化と体力の低下を実感するに至り、ようやく睡眠時間を増やすことを受け入れるようになりました。

ところが、習慣化した生活リズムを修正するのは案外大変なことです。早朝出勤は変えたくなかったので、就寝時間を早めるしかありませんでしたが、布団に早く入ってもすぐに眠れるようになるものではありません。

ストレッチや瞑想など、体をリラックスさせるための工夫をあれこれと試しましたが、要は、寝る前の脳に余計な刺激を与えないことが肝要だという結論に達しました。今も気が向いた時にはストレッチや瞑想はしますが、それよりも大事なことは、寝る前の一時間ほど前からは“何もしない”ことにしています。布団に入って、ぼーっとしたまま何も考えないようにすることが良い睡眠の準備なのだと思えるようになりました。

以前は、原因不明な焦燥感やイライラに悩まされましたが、今はそのような入眠準備を邪魔するものはほとんどありません。そのことが、私の睡眠の質を向上させているのは間違いないでしょう。もしかしたら、睡眠時間が増えたことで、精神的な安定を手に入れることができたのかもしれません。

お医者さんに言われた八時間睡眠まではまだ足りていませんが、就寝時間を少しずつ早める努力は続けています。