和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

働きやすい職場への道

ハラスメントやアンガー・マネジメントに関する社内研修が始まってから、もうだいぶ年数が経ちましたが、果たして効果はあったのだろうかと思う今日この頃です。

さすがに今の職場で、声を荒げて部下を叱責するような上司はいません。そんなことをすれば、一発で賞罰委員会にかけられます。以前はそのような罰則がなかったから、自分に抵抗できない人間に対して腹いせができたわけです。

しかし、今会社が行なっている研修は、職場でのゴタゴタを未然に回避するための対処療法の域を脱していません。アンガー・マネジメント研修にしても、端的に言えば、職場で怒りを露わにしないための、一時的な解決方法であって、その社員が抱えている負の感情を根本的に拭い去る方法までは教えてくれません。

沸騰している鍋に蓋すれば、外からは見えなくなりますが、煮えたぎっている熱湯はそのまま、蓋をした分だけ圧力が増して、やがては吹きこぼれてしまうことにもなりかねません。

以前、私がHR委員会のメンバーだった頃、ハラスメント行動をとって処分されたり、あるいは処分が検討された社員に対して、専門家のカウンセリングを受けさせることを提案しましたが、他のメンバーから、“病人扱い”することは行き過ぎとの声が上がり、その話は俎上に載ることはありませんでした。

社内研修のお陰か、社内でのハラスメント事例の報告件数は減少傾向にあります。他方、病気休職となる社員の数は減っていないと聞きます。それらのすべてが会社の人間関係に起因するものだと断定はできませんが、少なくとも、真に働きやすい職場への道は依然として遠いことを顕しているような気がします。