和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

終の棲家のその先

亡くなった私の父も妻の両親も自宅あるいは病院で最期のときを迎えたので、介護施設のお世話にはなりませんでした。親戚の中にも介護施設を利用した者はいないため、なんの予備知識もない状態で母の退院後の生活の場を探すことになりました。

 

民間の老人ホームも特別養護老人ホーム(特養)も、ネットで検索していると口コミの評判などの情報に溺れそうになりますが、今回集中的にいろいろな施設に足を運んだ経験から、やはり自分の目でそれぞれの施設の空気感やスタッフの方々の様子を確かめる必要性や重要性を実感しました。

 

ある施設では、入所申し込みの際に本人と家族でよく相談して、最期の看取りについても考えをまとめておくようにアドバイスされました。

 

私は最初、ピンと来なかったのですが、要はどこまでの延命措置を希望するかということです。介護施設では痰の吸引等、行える医療行為は限られているので、いわゆる老衰で死期が近づいてきた時に、それでも延命に拘る場合には介護施設では面倒を見ることはできません。そのような場合に受け入れてもらえる病院を、入所希望者・家族の側であらかじめアレンジしておいてほしいという趣旨でした。

 

母の退院後の目先のことだけしか考えていませんでしたが、終の棲家探しの先には、最期をどう迎えたいのかまで考えておく必要があるのだと改めて認識しました。

 

これまで、母は普段の会話の中で「寝たきりで長く生きたくない」ようなことは言っていましたが、果たして本当にそうなのか。人生の終盤に差しかかって心変わりはないのか。自分の人生をどのように終えたいのか。残酷かもしれませんが、目を逸らしてはいけない問いかけなのだと思います。

 

処方してもらった薬のお陰で、母はだいぶ落ち着いた様子で、明るくわがままな入院患者として過ごしています。もう何も背負う必要のないおまけの時間を楽しく過ごせるように支えたいと思います。