和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

大晦日

在宅勤務での仕事が主になってからの二年余りで、家の中の様子が大きく変わりました。それまで、共働きで平日は留守にしていることがほとんどだった我が家は「片付かない家」でした。

 

それが、妻の闘病生活で様子が一変しました。妻にとっては我が家が病室でした。新型コロナの蔓延が拡大している最中でもあったことから、お医者さんからは、免疫力の弱っている妻に感染させないように注意することが大切だと言われました。

 

さすがに家を無菌室のようには出来ませんが、可能な限り家の中を清潔に保つにはどうしたら良いか自分なりに考えた結果、念入りに掃除することと、手に触れる場所を徹底的に消毒することにしました。今では、家中を神経質に消毒して回ることしませんが、それでも毎日の掃除を欠かさなくなりました。

 

妻にとっても、私や娘たちにとっても、一番長く過ごすこととなった我が家を如何に心地いい場所にするか ‐ それを考えると自ずと掃除の手を抜くことが出来なくなりました。

 

毎日、仕事を始める前に掃除機掛けと拭き掃除、週末の窓ふきと玄関周りの掃き掃除など、習慣化すれば苦では無く、逆に掃除しないと何となく居心地の悪さを感じるようになりました。

 

良いことがあっても悪いことがあっても、泣いても笑っても、一日の終わりを迎えるのは我が家なのですから、その最後の場所がきれいに片付いているのは悪いものではありません。

 

晦日の今日も、普段通りに掃除を終えて一日が始まりました。今年最後の日を心静かに迎えることが出来そうなのは、私たち家族にとってはささやかでありながら最高の喜びでもあります。