和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

アナログ生活と整理整頓

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インターネット・オフの生活

介護休業も残すところあと1週間あまりとなりました。休業中、社用メールのチェックは週末にまとめて行ない、急用の場合には直接電話をかけてもらうことにし、必要に応じてオンラインで打ち合わせを行なうことにしていました。

 

休業前は、複数の同僚から私が仕事を離れることを不安視する言葉を聞きましたが、いざふたを開けてみれば、そのような心配などありませんでした。会社に“余人をもって代え難し”と言ったポジションなどありません。社員一人抜けたところで、誰かがその後を埋めることになります。もし、それが出来ないのであれば、それは、会社自体に問題があるのです。

 

私の休業前に、ある若手社員が精神的なストレスを抱えていることが分かり、休ませることにしました。その際、私が彼に伝えたのは、仕事は誰かが代わりにやってくれるから安心して放り出すように、と言うことでした。

 

私もかつて半月ほど会社を休んだ時に、急遽自分の仕事を誰かに託すことに不安を覚えたことがあります。しかし、一社員の仕事を別の社員がカバー出来ないことなど無く、結局は自分の不安は取り越し苦労に過ぎなかったことが分かりました。

 

翻って、今回の介護休業に関して言えば、私の中には仕事に関する不安はありませんでした。そもそも、自分自身が不安を感じないため、また、周囲の人間に余計な不安を感じさせないために、休業に向けての仕事の整理や周囲への根回しを半年ほど前から行なっていたのでした。

 

休業当初は、携帯電話を触ると、“習慣的に”メールをチェックしてしまうことがありましたが、それもやがて無くなりました。それに加えて、私はパソコンに触れない日を設けました。お気に入りのウェブサイトの巡回も2~3日に1回程度にして、意識的にネットに浸からない時間を増やしたのです。

 

ネットへの接続がオフの時間が増えた結果、読書量が増えました。とは言っても、改めて書籍を買い漁ったわけではありません。これまで、ふと書店に立ち寄った際に気になって買ったまま、“積読”状態になっていた本たちを読み始めたのでした。

 

まだ読み始めてすらいない本たちは、本棚の脇に積まれていました。それが結構な冊数になっていることは、買った本人が一番良く分かっていました。これまで、本を読み進めるきっかけを逸していたのですが、休業を機に、久しぶりに読書三昧のための時間を作ることができました。

 

完読した本は本棚に片づけることになりますが、今の家に引っ越した際に妻と約束したのは、蔵書数は本棚に収まるだけにすると言うものでした。つまり、新しく仲間入りしたものがあれば、本棚から追い出されたものを処分しなければなりません。

 

結果、本棚の整理を行なう羽目になりました。ブックオフなどに下取りしてもらう本は、洋書や雑誌は不可で、裏表紙にバーコードが無いような古い本も買い取り出来ないようでした。それらの本や雑誌を分類して、ブックオフに引き取ってもらうもの以外は、近場の古本屋に持ち込んで買い取ってもらいました。

 

ウェブサイトの巡回が習慣化していた頃は、パソコンの前に座っている時間はあっという間に過ぎていく感覚でした。ところが、その時間を読書に置き換えると、驚くことに、一層時間の経つのが早く感じられました。思うに、本に限らず、映画や演劇にしても、心から楽しみ、自分を没入できるものに費やす時間は短く感じるものなのだと改めて実感させられました。

 

気を緩めないための家事

約2か月の、実質“無職”状態だった私は、自分が自堕落な生活の陥ってしまうのではないかと一抹の不安を抱えていました。もちろん、妻の介護のための休暇にあってそれはあり得ないことなのですが、本来、ものぐさな性格なものですから、ルーズな生活にならないように自ら戒めなければならないことは自覚していました。

 

そのために私が心がけたのは、起床・就寝時間は休業前の通りとし、家事一切を引き受けることにしました。もちろん、娘たちも手伝ってくれるのですが、今までのような当番制は中断しました。また、家の中の掃除と整理整頓は手を抜かないことにしました。

 

日々の掃除機がけは当然のこととして、毎日、どこか一か所を念入りに片づけることにしました。ある日はキッチン周り、また別の日はリビング、と言ったように、掃除が行き届くようにすることで、怠け者の自分が顔を出さないように気を付けていました。結局、何かと忙しくしていないと、楽な方に流されることを自分が一番良く知っているからなのでした。

 

家族の共有エリアの整理整頓が行き届いていると、普段、物を散らかしがちな娘たちも気を遣うようになりました。気のせいかもしれませんが、今までよりも家の中がきれいに片付いているようになりました。

 

これまで義務的に行なっていた掃除でしたが、意識的に身の回りをきれいな状態に維持することは、健全な生活を送るために役立つことが分かりました。

 

オフラインの時間増によるアナログ生活への回帰、そして、家中の整理整頓の維持。一見、驚くような生活の変化ではありませんが、自分の意識の中では、メールのチェックなどの忙しない習慣を解かれたことによる心のゆとりと、自律的な生活を送るための術を自ら設けたことが非常に心地良いものになりました。

来週にはこの生活パターンを“元”に戻さなければなりませんが、自分の精神状態にどのような変化をもたらすか、よく観察してみたいと思っています。