優しい相談相手

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善人は騙される

前回の記事で、悩んでいる人に付け込んで私腹を肥やそうとする人間がいることを書きました。

 

lambamirstan.hatenablog.com

 

しかし、それ同様に許せないのは、人の悩み事を話のネタにしたり、人の不幸を見てほくそ笑むような人間がいることです。

 

悩みごとを抱えて二進も三進も行かなり、自分で答えを出せなくなると、相談相手が欲しいと思うことがあります。学業や進路、仕事やプライベートの悩み。経験豊富な人のアドバイスに助けられたことがあると言う人も少なくないはずです。また、相談相手では無くても、悩みを打ち明けただけで、気分が楽になったと言う人もいると思います。

 

一方で、相手を間違ったために、かえって悩みが大きくなったり、新たなトラブルに巻き込まれたり、という人もいることでしょう。

 

私がまだ若手社員の頃、仕事のストレスなどから円形脱毛症になったことがありました。10円玉くらいの禿が2つ、後頭部に出来てしまったのです。ストレスや睡眠不足、不規則な食事など、思い当たる原因はいろいろありましたが、ひどく動揺したことを覚えています。

 

会社の健康管理室に相談に行くと、すぐに産業医の先生と相談する手配をしてくれました。その結果、しばらく仕事を休むようアドバイスされたのです。そのことを当時の上司に報告すると、気の毒そうな眼差しで、休暇を取るように言われました。

 

2週間ほどの休暇で患部から産毛も生え始め、改善の兆しも見えたので、職場に復帰したのですが、同じ部署の先輩だけでなく、方々の部署で私が円形脱毛症だと言うことが知れ渡っていました。

 

後で知った話では、上司がいろいろなところで私のことを“ネタ”にしていたことが分かりました。私は腹立たしさと、それまで上司に抱いていた信頼感を失ってしまった悲しさから、仕事ができる状態では無くなり、再度しばらく仕事を休む羽目になってしまったのです。

 

今のご時世であれば、そんな上司はただでは済まないはずですが、当時の私の勤め先はまだまだ温い会社だったため、上司はお咎めなし。私は別の部署に異動となりました。

 

先日私が体調不良となった時に、ふとそのことを思い出しました。今ではもう気にならなくなりましたが、あの一件はしばらく私の心の中で燻ぶり続けていました。

 

世の中、恐ろしく口の軽い人間がいます。上司や同僚、親族であろうとも、簡単に人を信用してはいけません。特に、気が滅入っている時に、優しく手を差し伸べてくれる“振り”をする人間が出てきます。本当に信用できる相手なのかを見極めないと、後で酷く後悔することになります。

 

「善人」は良い行いをする人という意味の他に、騙されやすい人という意味もあります。悩みごとを相談したり、打ち明けたりする時、迂闊に善人になってはいけないと言うことが、私の拙い経験からの教訓です。

 

本当に困った時は

そんな自分の経験から、私は自分自身が相談相手になった時には、絶対に相談内容は口外しないことを相手に伝えるようにしています。そんなのは当たり前のことなのですが、せっかく相談してきてくれた部下や同僚に安心して話をしてもらいたいと言う気持ちと、自分自身に責任をもって相談に乗ることを言い聞かせるためです。

 

考えてみると、「ここだけの話」が好きな人が多過ぎます。特に酒席ともなると、人の不幸が肴になることが少なくありません。私は接待の席なら我慢しますが、社内の酒席でそのような話題を口に出す者には諫言することにしています。若かりし日の自分と同じ目に遭う人を増やしたくはありません。ただ、酒の席で私のような態度を取ると、2度と声が掛からなくなるのですが・・・それは仕方の無いことだと思っています。

 

もっとも、最近はコロナ禍のおかげで酒席はほぼゼロになっているので、そのような心配をする必要が無いことが救いになっています。

 

今まで私に相談してきてくれた部下や同僚はそう多くはありませんでしたが、真摯に対応してきたと思っています。ただ、身もふたも無い話ですが、結論を出すのは私では無く、相談者自身なので、自分の意見・考えを持たない者には相談に乗りたくても乗れません。

 

自分の考えがまとまっていない状態で誰かに相談することほど、危ないことはありません。なぜなら、人に言われたことが自分の考えだと錯覚する虞があるからです。

 

そして、本当に困った時には、お金を払ってでも専門家に相談するのが一番だと思います。もし、離婚の危機に瀕しているなら弁護士に、健康に関することなら医者に、と言った具合です。気の置けない人に相談する気軽さに対して、プロに相談する時の敷居の高さはありますが、重要な判断を迫られた時ほど、相談に乗ることを仕事にしている人に頼るのが一番だと考えます。

 

最後に決めるのは自分

専門家に相談する前に、信頼できる ‐ 信頼できそうに見える ‐ 相手に話を聞いてもらいたい、と言う気持ちは理解できます。

 

職場でも、傍から見て如何にも“何かあった”ことが分かるような、もしかしたら、誰かから声を掛けてもらうのを待っているかのような態度を見せる社員がいます。しかし、人前で悩んでいる素振りをするのも危険です。優しい言葉をかけてくる人間の全てが善良な相談相手とは限らないからです。蜜の味を求めて人の悩みを聞きたがっている者が隠れていることに注意を払う必要があります。

 

相談に乗る振りをしながら、悩んでいる相手の顔を見て、どんな不幸な結末になるのかを楽しみにしている人間や、そのような機に乗じて自分に従わせようと企む人間がいることを私は知っています。

 

誰に相談しようと、それがプロの相談相手だとしても、最後に結論を出すのは相談者自身です。どうすればいいのか分からなくなった時には、まずは自分が相談相手になったつもりで考えてみる、自分の考えをまとめる努力をすることが必要です。