和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

幸せの形はオーダーメイド

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勝ち組 負け組

「勝ち組 負け組」という言葉をよく耳にしますが、人それぞれの人生を勝った・負けたで二分することはできません。そもそも自分の人生は誰かと競い合うものでは無く、勝敗とは無縁のものです。それにも拘らず、どうして自分や誰かを勝ち組・負け組に分けたがるのでしょうか。

 

幸不幸と勝ち負けを混同してしまう人が多いのは、何が自分にとっての幸せなのかが分からないからなのだと思います。自分の周りを見渡して、幸せそうに見える人がいると、その後追いをしていれば自分も幸せになれると思い込んでいる人。そういう人は、後追いをしている人と比較することで、自分がその人よりも幸せなのかを判断しようとします。

 

また、勝手に誰かをライバル視して、対抗意識を燃やしてしまう人がいます。それも絶対に敵わない相手はライバルにはしません。そこそこ競い合えそうな、あるいは自分が勝てそうな相手を探します。

 

そして、ライバルより“もっと良い仕事”に就くこと、“もっと良い相手”と結婚すること、自分の子供を“もっと良い学校”に入れること、“もっと良い車”に乗ること、“もっと良い家”に住むこと・・・等々、より多くの“もっと”を手に入れて相手に勝つことで、自分の方が幸せだと言い聞かせようとします。逆に相手に“負ける”ことは、自分が相手よりも不幸せだと思い込んでしまうのです。

 

誰かに対して優越感を持つことが幸せだと勘違いしてしまうと、相手が苦労して手に入れたものに嫉妬したり、相手が不運な事故に巻き込まれたことに対して快哉を叫んだり、常に相手のことが気になって仕方が無くなってしまい、自分自身を見ることを忘れてしまいます。

 

そんな風に、自分と他人とを比べて一喜一憂することに時間と労力を費やすことは不毛だと気づかないこと、それ自体が不幸なことなのです。

 

理想の人生とは

では、誰かと比べるのではなく、自分自身が置かれている状況を見つめ直した時、果たして自分は幸せだと言えるでしょうか。

 

もし、日々生活を送る中で、幸せとは言えない何か ‐ 漠然とした不安や不満 ‐ を感じているとしたら、その原因は何でしょうか。

 

結婚生活、家のローン、老後資金、子供の進学・・・。自分が思い描いていた「理想」と「現実」。何もかも思い通りの順風満帆の人生を送っている人の方が稀で、理想と現実のギャップに不満を抱き、行く末に不安を感じている人の方が多いと思います。しかも、その「理想」というのが、実は自分が本当に望んでいる「理想」ではないということも往々にしてあります。

 

現在独身で、今が幸せだと思えるのなら、必ずしも結婚に拘る必要はありません。今住んでいる家で何とかやっていけるのであれば、わざわざローンを組んでまで家を買う必要はありません。しかし、親からのプレッシャーや周りに対する見栄や外聞が気になり、“自分の本心とは裏腹に”、結婚したり家を買ってしまったり・・・。そのように、自分の生き方を見失っている人がたくさんいます。

 

「理想の人生」とは本当に自分が思い描いていたものなのでしょうか。自分が心の底から望んでいる人生でしょうか。ひょっとしたら、それは誰かに刷り込まれたものかもしれません。

 

自分の親から、「良い学校」を出ていなければ幸せになれないよ、と言われ続けたり、稼ぎの良い人と結婚しなければ幸せになれないよ、などと吹き込まれたりしていると、良い学校を出て、良い会社に入り、稼ぎの良い人と結婚することが、自分にとっての「理想の人生」だと思い込んでしまうのではないでしょうか。

 

もし、親が、自分の成し得なかった「夢」を子供に押し付けているのだとすれば、子供は親の身代わりとして、親が思い描いた「理想の人生」のやり直しを強いられていることになります。

 

あるいは、自分は成功者だと思い込んでいる親が、自分と同じ道を歩ませることこそ子供の幸せだと思い込んでいるとしたら、子供は親のクローンのような存在でしかないことになります。

 

「理想の人生」。本当にそれが自分の頭と心で考えたものなのか、冷静に振り返ってみる必要は無いでしょうか。

 

自分にとっての幸せアイテムを探す

幸せの形に「こうあるべき」というものはありません。人それぞれです。何が自分にとっての幸せなのかは、親や教師が決めることでは無く、自分自身で探し求めるものです。

 

莫大な収入がありお金で買える物は全て手に入れられても、心が満たされないという人がいる一方で、ほとんど収入が無くても、自給自足の生活を満喫している人もいます。

 

せっかく“良い学校”を出たのに就職に失敗して引きこもりになる人がいる一方で、学歴とは無縁の、職人の世界で長い修行の後に大成した人もいます。

 

人生に、こうしておけば必ず幸せになれるという方程式はありません。これさえ手に入れれば幸せになれるというラッキーアイテムもありません。自分にとっての幸せとそのために必要なものは、自分で探すしかないのです。誰かが教えてくれるものではありません。

 

もし、自分が、自分の幸せはお金で買えると思えるのであれば、それを追い求めるのもひとつの考え。名誉や地位が手に入れられれば、自分は幸せだと思えるのであれば、それもありです。しかし、自分の心が満たされることを幸せと定義するならば、追い求めるものが、果たして本当に自分の心を満たすものなのかをよく考えるべきだと思います。