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転職すべきか居残るべきか

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転職市場の潮目が変わる?

新型コロナウィルス騒ぎに端を発して、新卒の内定を取り消す企業が出てきました。かつて、バブル崩壊後、長きに亘って就職氷河期が続きましたが、今回の景気低迷が第2の就職氷河期につながらないことを祈るばかりです。

 

転職が当たり前の風潮となって久しいですが、今後、景気低迷が長引いた場合、転職市場もその影響を免れることはできません。これからキャリアアップを目指そうとする方々は、潮目が変わる可能性を念頭に、転職すべきか、あるいは今の職場でのスキル向上を図るべきかを考える必要があろうかと思います。

 

“転職するには今が最後のチャンス”という年代に差し掛かっている方もいるでしょう。しかし、景気の浮き沈みだけは自分の力では何ともなりません。自分の実力を別の職場で活かしたいと焦ってみても、転職市場が縮小すれば、自分の希望する転職先に巡り合える機会は簡単には訪れません。

 

思えば、これまでのような、転職を前提としたキャリアパスを描くことができたのは幸運だったのかもしれません。

 

今の職場に不満を抱き、転職すること自体を目的にしてしまうのは危険です。これまでは、たとえ転職に失敗してもやり直せるチャンスはまだありましたが、中途採用を取りやめる、あるいは、採用数を絞る会社が増えれば増えるほど、やり直しがきかなくなるリスクが高まります。

 

それでも転職の道を追求するならば

昨年までは、30代の中堅から40代の管理職の層 - 就職氷河期で採用を控えていた年代 - を中途採用で補充しようという企業が多く見られましたが、この流れが変わることが考えられます。事実、私の勤め先でも、今後の先行き不透明感から中途採用の計画見直しを始める動きが出てきました。

 

また、昨年あたりから中高年の社員を対象とした早期退職勧奨を行う会社が増えてきました。黒字の会社でさえ、40代~50代の社員の人件費負担を極力減らそうと動き出しました。このまま長期の景気停滞に突入した場合、中高年に対する“肩叩き”は一層増えていくことが予想されます。

 

ここで、一番やってはいけないことは、転職先が決まらないうちに退職してしまうことです。

当面の生活には困らないくらいの退職金が手に入るとなると、「次の仕事のことは落ち着いてから考えよう」とのんびり構えてしまう人もいるようですが、今のキャリアを活かして転職したいのであれば、“間を空けずに”次の仕事に就くべきです。もし、転職先が見つからずに、「無職」の期間が長くなれば、それだけ良い条件での転職が難しくなっていきます。今の会社を辞めるのは、転職先が決まってからと言うことを忘れないようにしましょう。

 

会社に噛りつく

中高年の方々の中には、会社からの「肩叩き」で、やむなく自分の意とは沿わない転職をしてしまった、という人もいるようです。さらにこれからは、会社から追い出される圧力が増す一方で、転職が益々狭き門になるという悪い状況が容易に想像できます。転職どころか、今の職場に残ること自体が大変な時代に突入したと言えないでしょうか。これから“肩叩き”に遭うことが予想される方々は、転職すること自体気が進まないのであれば、石に噛りついてでも今の会社に居座り続けるべきだと思います。

 

これまで、自分のスキルを高めてキャリアアップを図ることを考えていた人にとって、今の仕事を続けていくこと自体が覚束なくなることは納得できないかもしれませんが、こればかりは、時の運と気持ちを切り替えることも必要ではないでしょうか。

 

景気の動向によって収入が左右されることがあるとは言え、会社員にとって毎月決まった額の給料が得られるということは、安定した生活を送る条件です。もちろん、どんな会社にも倒産リスクはありますが、そうでない限り、安定した生活を第一に考え、あえてキャリアアップを断念するというのも、一つの考え方だと思います。

 

ここで、社内の役職や地位に拘り過ぎて、「降格させられるくらいなら転職してしまおう」と考える人もいますが、定年を迎えれば、誰もが“普通のおじさん”や“普通のおばさん”に戻るのです。その時になれば、元の役職など何の価値もありません。

 

役職や地位に拘るあまり、意地になって転職して失敗するくらいなら、年下の上司に仕えてでも会社に居座る方が安全ではないでしょうか。会社の中で登り詰めることが人生のゴールではありません。

 

他の記事でも書きましたが、定年退職後の余生は意外に長いものになるかもしれません。そう考えると、会社でのキャリアが自分にとって満足できるものか否かは、あまり重要なことではありません。学校の通知表で言うなら、2学期が終わったところ。3学期の成績がボロボロなら、これまでの努力は水の泡です。

 

会社に食われるな

家族との生活が第一、会社での昇格は二の次と考えると気が楽になります。会社の仕事は生活費を稼ぐための手段だと割り切れば、必要以上に社内の人間関係に気を遣う必要も無くなります。

 

これは、何も上司や同僚に喧嘩を売れという意味ではありません。もちろん、任された仕事はこなさなければなりません。貰っている給料分の仕事はきっちりやる。しかし、必要以上のことはやらない。自分の部下や後輩の面倒は見る。悩み事があれば相談に乗る。しかし、上司の尻拭いは極力やらない。

 

全ての厄介事を回避することは無理だとしても、余計な荷物は背負わないことを心がけるだけで、これまで見えていた風景が変わります。私はこの簡単なことに気がつくまでかなりの遠回りをしてきました。

 

自分が自分らしく生きるために本当に必要なことは何か。キャリアアップでしょうか? 家族との時間でしょうか?