一番大切な赤の他人

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ベテラン夫婦?

私も妻も50代に差し掛かり人間的にも丸く(?)なったと思います。一昨年に銀婚式を迎えましたが、振り返ってみると25年余りの結婚生活は長いようであっという間でした。若い頃は些細なことで喧嘩もし、数日口も利かないこともありましたが、最近では「これ以上言うと喧嘩になるかな」とお互い分かっているようで、諍い事をうまく避けられるようになりました。四半世紀も一緒に過ごしていると、どうしたら相手が喜ぶのか、何をしたら相手が不快な思いをするのかが大体分かってくるものなのですね。

 

これから結婚生活を迎えようとする方々は期待や不安があると思います。また、結婚生活を始めて日が浅い方々の中には「こんななずじゃなかった」と暗澹たる気持ちを抱いている人もいるかもしれません。

 

そんな人に、少しだけ先輩面をして結婚生活を長持ちさせるコツを伝授したいと思います。妻からは「偉そうに!」と突っ込みが入りそうですが。

 

秘訣は“すぐに”

私の大学時代の先輩は、結婚3周年を待たずに離婚してしまいました。離婚の直接の理由は忘れてしまいましたが、とてもつまらないことだったのは覚えています。ただ、ご夫婦とも働いていて、平日はあまり会話が無かったそうです。そして、“つまらないこと”で大喧嘩をして離婚届に判を押してしまいました。

 

先輩曰く、今まで喧嘩らしい喧嘩をしたことも無く、言い争いの終わらせ方が分からなかったのだそうです。大喧嘩の翌日には離婚届を提出したというのですから驚きです。しかし、私にとっての教訓はそこから先の話でした。

 

勢いで離婚してしまった先輩ですが、その後冷静に考えてみて自分がとんでもないことをしてしまったことに気づきました。当時はまだ携帯電話は普及しておらずポケベルの時代。何度も“元”奥様を呼び出しますが一向に連絡がありません。

 

ポケベルを鳴らし続けて2~3か月後。元奥様のお父様が先輩の元に乗り込んできました。本当の絶縁宣言でした。ポケベルが鳴っても連絡をしなかったのは、元奥様としての意地だったのでしょうか。実家で先輩が迎えに来るのを待っていたそうなのですが、一向に姿を見せない先輩の態度に最初に痺れを切らせたのはご両親。結局、もつれてしまった状況を元に戻すこともできずに、先輩は泣く泣く関係修復を諦めたそうです。

 

そんな話を聞いていた私は、妻と結婚する前にお互いに約束をしました。

  • 喧嘩はその日でおしまい。悪いと思ったらすぐに謝ること。
  • 不満は貯めこまずに、すぐに相手に伝えること。
  • 謝ったらすぐに許すこと。

 

大事なことは、悪い空気が流れたら“すぐに”対応することです。謝るのが苦手、とか、すぐに人を許すことができない、という人がいるかもしれませんが、そういう人は損をしています。時間が経てば経つほど、相手を許したり、相手に謝ったりするきっかけを失うことになってしまいます。

 

不満は本人に言う

とは言っても、家でのいざこざを完全に封じる術はありません。奥さんや旦那さんに対する不満をぶちまけたい気持ちを抑えられないこともあるでしょう。お酒の席になると、問わず語りに奥さんや旦那さんの愚痴を話し始める人がいます。

 

かく言う私も、若い時分に会社の先輩と飲み歩いている時に妻への不満を愚痴ってしまったことがあります。しかし、当時は社宅住まいの身。月一回の敷地内の清掃は住人が行うことになっているのですが、そんな時に、牢名主ならぬ社宅名主の奥さんから、「旦那さんに穴の開いた靴下なんか履かせたらダメよ」などと言われた妻は顔を真っ赤にして俯くばかり。そして私はそのことで妻に詰られるのでした。確かに夫婦の間の恥を他人様に晒す必要など全く無いのですが、お酒の席ではそのようなことをつい面白おかしく話したくなってしまいます。妻に叱られた私は、もちろん、“すぐに”謝りました。

 

私はそれ以来、妻への愚痴を笑い話のネタにすることはしていません。また、これに関連しますが、娘たちにも妻の愚痴や悪口は言わないようにしています。妻もそうしてくれていると思います。本人がいないところで不満を言っても、ひとつもいいことはありません。

 

仲良きことは美しき哉

お互いのちょっとした気遣いも大切です。それは、単に記念日に外食するなどということではなくて、うたた寝をしている相手に毛布を掛けたり、疲れていそうな相手の足をマッサージしたり、お互いに、自分がしてもらいたいと思うことをしてあげることです。そのような思いやりは新婚、熟年夫婦問わず大事にしたいものです。

 

夫婦の間で貸し借りは無いのかもしれませんが、これまでの結婚生活を振り返ってみると、私の方が妻の世話になっているのかもしれません。平日の家事はほとんど妻に任せており、その分土日は私が掃除洗濯と炊事を行うようにしていましたが、共働きにも拘わらず、妻の負担の方が多かったと思います。それでも妻はそのことで不満を漏らすでもなく、当たり前のこととして受け止めてくれていました。また、娘たちの面倒も良く見てくれました。おかげで、何とか無事に子育ても卒業できる目途が立ちました。妻には頭が上がりません。

 

妻の両親はすでに他界していますので、彼女にとって帰る場所は今の我が家以外にありません。これからの残りの人生、私ができることはそれほど多くはありませんが、妻がほっとできるような居場所を作ってあげることが私の務めだと思っています。

 

夫婦はどんなに好き合っても所詮は赤の他人です。逆立ちしてもそれは変わりません。だからこそ、夫婦であり続けることは大変でもあり、美しくもあるのだと思います。