和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

人付き合いも努力が必要

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年賀状離れ

学生時代や社会人に成り立ての頃までは、頂いた年賀状の枚数を友人と自慢し合っていました。年賀状の枚数は“顔の広さ”に比例すると信じていたからです。

 

年々、年賀状離れが進んでいるようで、我が家も頂く枚数と送る枚数がすっかり減りました。メールやSNSを通して年中近況報告をしているような知り合いとは、わざわざ年賀状のやり取りはしません。顔を合わせる機会がほとんど無くても、SNSなどで様子が分かるのであれば、年1回の年賀状など無くても支障ありません。妻はせっせと恩師の方々などに年賀状を送っていますが、年を追うごとに受け取る枚数が減ってきていることを寂しがっています。

 

私の勤務先では大分前に虚礼廃止ということで、社員間の年賀状のやり取りは止めることになりました。さらに、個人情報保護の観点から社員住所録も廃止してしまったので、同僚でも余程親しくなければお互いどこに住んでいるかは知りません。

 

ただし、今でも年賀状を頂いた時にはこちらからも近況を添えて年賀状を送ることにしています。今年はその枚数も1枚になりました。それは私の元上司からのものです。退職して10数年も経ちますが、依然年賀状のやり取りは続いています。

 

以前、当時同じ部署だった先輩や後輩に聞くと、その元上司には“大昔に年賀状を出すのを止めた”とのことで、周りを見渡すと、真面目に年賀状のやり取りをしているのは私ただ1人になってしまっていました。そんな話を聞いたので、なおさら年賀状を出すのを止められなくなってしまったのかもしれません。私は、その元上司にはお世話になったこともあり、年賀状を頂けば放っておくわけにもいかず、毎年年賀状を出してきたのです。

 

止めようと思えばいつでも止められるのですが、元上司にとって私が会社との唯一の接点なのかもしれません。そう思いながら、今年も元上司に年賀状を出してしまいました。

 

面倒な人はブロック、でいいのか

「人間関係の断捨離」などと言う言葉を耳にすると、とても抵抗感を覚えるのは、私が古い人間だからかもしれません。

 

以前、ある先輩から、社内外問わず、仕事で馬が合わなくても敵対関係になったとしてもこちらから関係を断ってはならない。人脈は自分に危害が加わらない限り保つべき、という話をされました。

 

確かに、会社では、“貸し借り”で仕事を頼んだり受けたりすることがあります。また、顔が広ければ物事がスムーズに進むことも多々あります。以前仲が悪かった間でも、歳を取ればうまく付き合えるようになることもあります。年齢を重ねるとともに、人脈に助けられていることを実感します。

 

そう考えると、あえて自分から身辺整理をするというのは如何なものかと思うのですが、今の若い社員は違う見方をしているようです。

 

今まで先輩社員と二人三脚で仕事をしていたのに、先輩社員から一言忠告されただけでSNSをブロック、異動したいと申し出る者がいました。SNSであれば、嫌な相手をブロックして終わりですが、生身の人間ではそうは行きません。出社すれば顔を合わせなければいけません。同じ部署で一言も会話をしないで仕事ができるわけがありません。

 

私は、彼女らに直接話をするように説得しました。上司の命令ですから、呼ばれれば応接室でも会議室でも顔を出します。でもそこまでです。嫌いになった相手とは無理して関係を再構築する必要はないということのようです。

 

遊び仲間であれば、自分にとって心地よい仲間とだけ付き合っていればそれで用が足りるでしょう。しかし、職場ではそうは行きません。性格が合わない同僚とチームを組まなければならないこともあります。どのような相手とでもそれなりの人間関係を構築できなければ、当の本人が「扱いづらい」と思われてしまいます。

 

会社での仕事は、自分ひとりで結果を出せるようなものは稀で、大きな仕事になればそれだけ、複数の人間の助け合いが必要となります。そういう意味でも、どのような相手とも円滑にコミュニケーションを取れることは、今や必要な“特技”なのかもしれません。人付き合いもスキルのうちです。

 

問題の2人は、一昨年それぞれ異動し、すでに私の部下ではなくなりました。年上の社員の方は、私の説得を聞き入れ、後輩社員と何とか関係を修復しようと努力したようですが、徒労に終わったようです。

 

人間関係を断捨離することは、必要が無くなればいつでもできます。一時の感情に任せて自分から“ブロック”する必要などありません。むしろ、職場で人の助けを借りながら仕事をしているときこそ、同僚とも一期一会の気持ちで接するよう努力が必要ではないでしょうか。