シニアの力を引き出せ

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中高年社員はお荷物なのか

先日、早期退職の話を書きました。

lambamirstan.hatenablog.com

 

終身雇用制度の終わりが近づいてきました。不採算部門の整理や組織のスリム化と並行して、人員構成の適正化を進めなければ生き残れないと判断する企業は、該当する社員に対し早期退職を勧奨します。同様の会社が、来年以降も続々出てくるものと予想しています。このようなニュースに接すると、これからは会社勤めで40代ともなればお役御免になるのか、などと暗澹たる思いをされる方も多いのではないでしょうか。

 

幸い、私の勤務先ではまだそのような動きはありません。ただし、数年前からバブル入社組が次々と定年を迎え、再雇用の嘱託が驚くほど増えています。一昔前であれば、出世街道から外れてしまった社員でも、関連会社などの管理職など、何かしらのポストが与えられていました。片道切符の出向というものです。従って、本社での再雇用者はあまり目立たなかったのですが、バブル崩壊以降、採算性の悪い関連会社は整理され、また、新規プロジェクトの立ち上げも激減したことから、余剰人員の受け皿がめっきり減ってしまいました。そのため、本社の再雇用者が急増したのです。

 

また、我が社では、55歳になると役職定年となります。正式な定年になる前に肩書を外され、一兵卒として働くか、上述のとおり関連会社等に出向することになります。私もあと3年でそうなります。役職定年者には、少し前までは関連会社の監査役や非常勤取締役など、名誉的な、意地悪な言い方をすると、お飾り的なポストが与えられてきましたが、嘱託社員の急増により、ポストが完全に不足しているのが現状です。もし、我が社が流行に敏感な(?)会社なら、中高年社員への早期退職の勧奨が始まっていてもおかしくはありません。

 

そのような状況の中、人事部はリタイア前後の人材の処遇に頭を悩ませています。しかし、彼らはとにかく溢れかえっている役職定年者や再雇用嘱託を押し込める場所探しに汲々としているだけで、実のある結果が伴っていません。人事部が中高年社員をお荷物としか考えていないから、いい解決策が見つからないのではないかと勘繰ってしまいます。

 

人材流出の穴をシニアで埋めろ

依然としてリタイア前後の社員は、宙ぶらりんの状態にありますが、ある程度の役職まで経験し、仕事に対して熱意を抱いていた者ほど、ある日突然閑職に回されると変調を来たす傾向があるようです。これは本当に深刻な事態です。頭数に入っていても、戦力にならない人間を囲っておくのは、部全体のモチベーションに影響を及ぼすことになりかねないからです。あるいは、まだ能力を発揮できるはずなのに自主的に退職の道を選ぶ者もいます。長年我が社で働き十分な知見を蓄えた人材を手放してしまうのは、会社にとって大きな損害です。

 

その一方で、若手・中堅社員の流出が止まりません。終身雇用制度の終わりと歩調を合わせるように、気軽に転職する若者が増えてきました。新規採用を増やしても、離職率の高い若い世代は、“層”が薄くなります。それを中途採用で補填し続けるのですが、結果、我が社の社風に馴染まない異質な社員を増やすことになります。

 

“異質”とは言っても、決して中途入社の社員が悪いという意味ではありません。かなり保守的な我が社が、違った企業文化を持ち込まれることに拒絶反応を示し、双方が交わることができないのです。結局馴染めない社員は再び転職していくことになります。こうして、従業員の人員構成は歪な状態が続くことになります。また、知識・経験を備えたシニア層が会社を離れ、若手・中堅の定着率も低いとなると、様々な分野でノウハウの伝承が滞ってしまいます。

 

私はこの事態を緩和するにはシニアの力を活用すべきだと思っています。何も、私がシニアに差し掛かっているから言うわけではありません。

 

私の部にも、一昨年まで再雇用の嘱託が1名おりました。かつて私が仕事を教えてもらった先輩社員です。彼もご多分に漏れず、若手社員と同等の扱いを受けており腐っていましたが、私が部長として異動してから、特命の調査業務を担当してもらうことにしました。その人は語学が堪能で、若い時から情報収集を得意としていたことを私は知っていました。ラインの中では仕事をしてもらうわけにいかなくなった人でも、それぞれの特技や得意分野を活かした仕事の任せ方があると信じています。このようなシニアの活用を人事部に提案していますが、何分腰の重い部署ですから、これからどうなるかは定かではありません。

 

我が社には、世間の流行に乗って早期退職勧奨などせずに、シニア人材を個々に再評価して、それぞれの得意分野で再出発できるような方策を考えてもらいたいと思っています。私ももうすぐそういう年代に差し掛かりますので、会社への期待も含めてそう考えている次第です。