和尚さんの水飴

老後の前のハッピーアワー

早期退職の波がやってくる

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中高年世代に迫る人余り対策

今年も残すところあと半月となりました。元号が変わり新時代を迎えた本年、私が注目した話題は「早期退職」です。世の中の大きな流れとして、いわゆる「先行型」の早期退職が終身雇用制度の完全なる終わりの始まりを象徴するものだからです。

 

少し前までは、不採算部門の整理などによって余剰人員を抱えることとなった企業が、40代から50代の管理職を対象に早期退職勧奨を行うというケースが多くみられました。

 

しかし、今年新聞などでよく目にしたのは、経営状態が悪いわけでもないのに、40代以上の社員を対象とした早期希望退職を募るというニュースでした。まだ経営状態がいいうちに人員体制のスリム化を図るということなのでしょう。

 

一方で、企業は高齢者雇用安定法の改正を受けて、定年退職者の雇用確保を講じる必要もあることから、再雇用の対象となる社員を早めに減らしておこうという意図があるのではないかとも考えられます。

 

会社に再雇用してもらうためには、早期退職の肩叩きにもめげずに定年まで会社にしがみついていなければなりません。もちろん、早期退職“させられた”としても、再就職できる可能性は残りますが、前職よりも収入が減ることを覚悟しなければなりません。その場合、仮に再雇用されたとしても、期待どおりの収入は得られません。そう考えると何ともやるせない気分にさせられます。

 

私の勤め先では、大分前から自由選択定年制度があり、50歳を過ぎれば割増退職金をもらって“定年退職”できることになっています。幸いにして、会社側からの退職勧奨はまだ始まっていません。

 

それでも、バブル時代に雇用した世代は次々に定年を迎えており、再雇用で嘱託となった社員の処遇に人事部は頭を悩ませています。元部下としても、ついこの間まで自分の上司だった人間に指図するというのは憚られるので、うまく仕事を回せない部署も少なからずあります。

 

大抵の企業では、今のところ、嘱託期間は最長で65歳までですが、いずれ、70歳に延長されることを考えると、会社として定年を迎える前に中高年の社員を減らしておきたいと考えるのも無理はないと言えます。

 

雇われている身からすれば、そんな会社の都合など堪ったものではありませんが、このような現実を受け止めて、自分で対策を講じなければならない段階が迫ってきています。

 

人手が足りない世代

その一方で、多くの企業を悩ませているのが、中堅・若手の人材流出です。思うに、働き方改革と銘打って、残業時間の抑制やプレミアムフライデー、産休・育休の充実化などを進める動きは、若い世代ができるだけ働きやすくするため、ひいては、長く会社で働いてもらうための策です。

別の記事でも書きましたが、若手・中堅社員に残業させられないしわ寄せが幹部社員に来る結果となっています。

 

lambamirstan.hatenablog.com

 

我が社も例外ではなく、夜8時台や、土日の休日出勤の顔ぶれは、おじさんばかりです。しかし、- こんなことを言うと、時代に逆行していると批判されそうですが - 残業慣れしてない若手が、やがて幹部社員となったらどうやって仕事を回すのか、とても不安です。仕事の量を減らすか質を落とすしかなく、そうなれば、部署としてのアウトプットは劣化してしまうからです。もっとも、その頃には人間の代わりをAIが担ってくれる時代になっているかもしれませんが。

 

会社がどんなに若手・中堅に阿った策を講じようと、今の若い世代は会社が想像している以上にドライです。自分もキャリアパスに役立たないとなれば、すぐに次の職場を探し始めます。福利厚生の充実化に腐心するのも結構なことですが、会社の将来像を示すことができなければ、人材流出を食い止めることなど出来はしません。

 

悩める中高年の行く末は

中高年と言えども、いわゆる“潰しが利く”仕事に従事してきた人は、案外転職先を簡単に見つけられるかもしれません。

 

一方、そうでない人にとって転職は無謀とも言えます。早期退職はあくまでも会社が勧奨するものであって、強制ではありません。会社によっては、悪名高き「追い出し部屋」のような部署を持つところもあるかもしれません。しかし、私はそのような場合でも最期まで会社にしがみつくことをお勧めします。会社さえ辞めなければ給料はもらえるのです。

 

我々中高年にとっては、本当に世知辛い世の中となりましたが、それでもあえて言いたのは、失業して路頭に迷うよりは肩叩きを続けられた方がまだましということです。もちろん、お金のためだけに働いているわけでは無いでしょう。しかし、やりがいのある仕事を取り上げられても、仕事以外で生きがいを見つけることはいくらでもできるのですから。