愛は金銭感覚を超えられるか

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火車に乗ってしまった友人

私の友人にバツイチの男がいます。ここではAと呼ぶことにします。

 

Aは大学時代に付き合っていた彼女がいて、卒業したら結婚する約束をしていました。その後、Aは休学して一年間スペインに留学した後、帰国し某省庁の外郭団体に就職しました。

 

就職し彼女と結婚したAでしたが、ここから彼の人生が狂い始めます。何不自由なく育った彼女は、Aが稼いできた給料を好き勝手に使いまくります。掃除・洗濯程度の家事はしていたようですが、炊事は苦手で食事はデパートの総菜がほとんど。給料は足りず、 Aは休日にアルバイトまでして生活を維持しようと努めました。

 

なぜ、そこまでして結婚生活を続けようとするのか。実は彼女はAのスペイン留学中に心変わりし、別の男と付き合い始めました。普通であれば婚約解消です。しかし、帰国後にそれを知ったAは彼女を詰るでもなく、一生面倒を見ることを条件に自分と結婚するよう口説き続けたそうです。本当に彼女一筋だったのです。

 

そんな経緯もあり、Aは彼女の言いなりになっていました。やがて二人の間に子供が生まれると、Aの生活はさらに過酷になりました。仕事でどんなに遅く帰宅しても、子供の入浴は彼の仕事でした。夜中も彼が子供にミルクを与えます。仕事のストレスを発散する場もありません。そんな生活が続き、寝不足と疲労がAの体の中に滓のように積もっていき、ついにそれが溢れ出しました。顔も洗わず、部屋着のまま出社したり、コンビニで金も払わずにその場で菓子パンをかじったり、と奇行が現れます。最初のうちは彼の上司が収めていましたが、そんなことは長く続けられるわけはありません。ついに新聞配達のバイクの乗り逃げで逮捕され、Aは懲戒解雇されてしまいます。

 

そもそもお金でしかつながっていなかった夫婦ですから、すぐに離婚となりました。彼女と子供は、彼女の実家のある東北地方に引っ越していきました。結婚生活中の状況を初めて知った両家が協議して、慰謝料や財産分与は無し(そもそも分与する財産が無い状態でした)、Aの実家が子供のためにわずかながらの養育費を払うことになったようです。

 

私はこの話を約20年後になって、A本人から聞きました。彼はその間、精神科の病院に入退院を繰り返して、ようやく安定した頃に今までの話をすることができたのです。夫婦関係はどちらか一方が相手に尽くせば上手く行くものでもなく、ましてや家計の管理ができないパートナーに財布を預けてしまっては、生活を維持することなど出来ません。その結果は火を見るよりも明らかです。まさにAは自ら火車に乗ったがために精神に異常を来たすまでになってしまったのです。

 

愛は金銭感覚を超えられるか

かつての私の上司は、結婚する方が(独身者よりも)金が貯まると真顔で言っていました。しかし、Aの例のとおり必ずしもそうとは言えません。浪費癖のパートナーと一緒に暮らせば、自分の貯金まで使い果たされてしまうことだってあり得ます。そうなれば、結婚生活など文字どおり人生の墓場になります。

 

結婚の際に重要視される「価値観」のうち大きな部分を占めるのは金銭感覚でしょう。浪費癖はもってのほかですが、極端な倹約家も困ったものです。やはり、金銭感覚が一致しているというのは重要です。お金の使い方も貯め方も意見が合わなかったら、貯蓄どころか夫婦生活自体が破綻することにもなりかねません。

 

世の中お金だけではないとは言え、「金銭感覚の一致」は「性格の一致」と同等に夫婦のつながりを左右するものであることに間違いありません。すでに結婚している方、そして、これから結婚する方も、パートナーとお金に対する考え方は時間をかけて話し合いをすべきだと考えます。

 

「そんなこと聞きづらい」という人もいるでしょう。特に結婚を意識し始めたくらいの時期に、お金の話を持ち出すのは勇気がいるかもしれません。しかし、夫婦になるからには、何でも話せる間柄にならなくてはなりません。ちなみに、私たち夫婦の場合は、当時会社の付き合いや奨学金返済のため全く貯金が来ていなかった私を見て、妻があきれて私の預金通帳と銀行カードを没収した(?)のが始まりでした。以来、お金の管理は妻に任せています。

 

お金の管理は妻の担当ですが、預金額は全て透明化しています。夫婦それぞれの銀行口座の残高などは3~4か月に1度は二人でチェックしています。いくつか「つもり貯金」を継続中なので、家計簿を見て積み立て具合の確認も二人で行っています。こんな感じで、結婚したらどちらかにお金の管理を任せっきりにせず、確認作業は共同で行うことは大切です。着実に資産が増えていく様子を夫婦で確認することで、お金を貯める励みにもなります。

 

どんなに好き合っていても、価値観、とりわけ金銭感覚が大きく異なると、夫婦共同での生活は苦痛なものになってしまします。愛があれば何でも乗り越えられるというのは幻想でしかありません。