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退職トラブル 逃げるが勝ち

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引き止めをかわす“言い訳”

以前「転職 成功の秘訣」という記事で、退職の際には元の会社に悪い印象を残さないように心がけるべきと書きました。

lambamirstan.hatenablog.com

 

とは言え、退職するあなたの思惑どおりに事が進まないことが多々あるのも事実です。

退職の引き止めもその中の一つです。退職の申し出をした時に、会社から全く引き止められないというのも寂しいものですが、しつこく引き止められるというのも困りものです。

 

最初に申しあげておかなければならないのは、私は退職や転職を指南することを商売としている者ではありません。それとは逆に会社側の人間として、これまで退職を希望する部下を慰留してきた立場にあります。その経験から、会社の引き止めをかわす方法についてお話をするものです。

 

会社によっては、部下の退職は上司の評価につながります。私の勤め先でもひと昔前までは、部下の慰留に失敗するとその上司の査定に×がつきました。さすがに若い人の転職が当たり前になった今となっては、私の会社でも社員の退職は珍しくなくなってきており、上司が×を食らうことは無くなりましたが、自分の部署のスタッフが減るということは業務にも少なからず支障を来すことになり、人員の補充も思うようにできない状況では、部下の退職は避けたいというのが正直なところです。

 

また、部下の退職そのものが上司の査定に影響しなくなったとは言っても、退職理由が職場に対する不満となると話は別です。部署の統制や部員の管理に手落ちがあったとなると、それ自体が上司の評価を下げることになります。そうなると、上司としては不満の原因を取り除くことを条件にあなたを引き止めようとします。それが人間関係や担当業務そのものだった場合には、部署の異動や、転勤を提案し、あなたに転職を翻意させようとします。

 

「新しい分野の仕事にチャレンジしたい」とか「別の職場で自分の力を試してみたい」など、“前向きな”理由も引き止めの対象となります。一見角が立たないように見えますが、「では、どんな仕事にチャレンジしたいのか」、「うちの会社でもあなたの力を発揮できる仕事があるはず」と上司としてはマニュアルどおりの質問を投げかけてきます。

  

したがって、あなたが退職に際して煩わしい思いをしたくなければ、これらの理由は使わないことをお勧めします。

 

では、一番“後腐れがない”理由とは何か。それは、「家人の介護」など止むに止まれぬ理由です。こればかりは会社としては如何ともし難く、引き止めも相成りません。八方丸く収めるには嘘も方便です。

 

転職先は漏らさない

退職前に社内で転職先を言って回るなんてことをする人はいないと思いますが、それでも、親しい同僚に退職の相談をしたり、転職先が決まったなどという話をしたりする人はいるはず。

 

かつて私の会社で、退職を控えたある社員が同僚に転職先を漏らしてしまったことがありました。転職先が同業者であったことから、役員の1人がその同業者のところに乗り込んで、件の社員の持っている情報を使って商売をすることのないようにと釘を刺したのです。受け取り方によっては、転職話を反故にせよとも取られかねない話です。幸い、この社員は無事に転職できたのですが、彼も転職先の会社もいい気分はしなかったと思います。

 

私の経験から申し上げたいことは、どんなに親しく信頼できると思っても、同僚や上司に退職・転職の相談をしてはいけません。「信頼しても信用するな」です。特に最近の若手社員にその傾向が見られるのですが、私のところにも「X社に転職したいと思っているのですが、どう思われます?」と聞いてきた部下がおりました。無邪気過ぎます。

 

トラブル対応は逃げるが勝ち

ここまで、いかにスマートに退職・転職するかに焦点を当ててきましたが、中には、これまで退職していった同僚が大変な目にあったのを見てきた、とか、退職したかったけれど辞めさせてもらえなかった、という方もいるのではないでしょうか。責任感の強い方は、今自分が辞めたら残された同僚が苦労することになる、と考えているかもしれません。

 

しかし、一番大切なのは自分です。自分を犠牲にして仕事をしても、会社はあなたを一生面倒みてくれるわけではありません。今いる会社を辞めたいが、上司に退職の申し出をしても受け入れてくれないと悩んでいる方は、冷静に考えてください。労基法上、あなたはあなたの意思で会社を辞めることができます。

 

もし、会社との間でトラブルになることが予想される場合には、無理せずプロに任せてしまうのが最善の策です。全て自分で背負い込む必要などないのです。真面目な人に限って、正攻法で上司と面談の上退職の申し出をすることを考えますが、気の弱い性格なら、上司や人事担当者が寄ってたかってあなたに翻意を迫ってくることだってあります。また、あなたの転職を妨げようとする可能性だってあります。

退職に際して、そのようなリスクを少しでも感じるのであれば、手続き一切を専門家に任せてしまいましょう。ただし、退職手続きの代行では弁護士資格がないと有休消化や残業代・退職金の交渉ができません。したがって、どこに依頼するかは慎重に検討する必要があります。